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俺の家は代々執事ってやつをやっていた家系で、俺の爺さんや親父も、親父に嫁いだババアも執事について学び、女初の執事をやっていた。
勿論俺も執事の心得というものを小さい頃から嫌ってほど受けてきた。学校もそれ専門の学校みたいなもんで本当に毎日が苦痛だった。その学校であの高杉とも会ったよ。
こんな苦痛の中俺は絶対執事なんかになってやるか、俺は自由に生きてやる、そう誓ったんだよ。
だけどそんな誓いもある時、いとも簡単にぶっ壊れた。
「銀時。こちらがお前のお護りするお嬢様の父様、姫路野様だ。」
俺の家系は代々姫路野家に仕えているらしい。今回そのお嬢様とやらの面会だった。将来着るかわからない服装の着方を教えてもらいながら、まだ幼かった俺はじっとその時を耐えていた。
俺の親父と姫路野の主人が他愛もない面会をしている時、子供がここでじっとしておくのも楽しくないだろう、遊んでおいでと主人が俺を外へ追い出した。
本来執事を目指すものは遊びというのはしてはならないこと。勿論親父も止めに入ったさ、甘やかさないでくださいと。
だけど主人はまだ子供だから甘やかせれるんだ、と言い俺に「外でたくさん新鮮な空気を吸ってきなさい」と言った。
そう言われて出てきたのはいいが、小さい頃から「遊び」というものをしたことがない俺はただ言われた通り外の空気を吸っては吐いて吸っては吐いていた。
綺麗な緑色の芝生に転がり、溜息をつく。風が心地いい。
「あなたが、わたしの執事?」
突然声がした。閉じかけていた目をこじ開けると、そこには目がクリクリしていて肌が白く、キョトンとした表情で俺を見てきたやつがいた。
「......は?」
「だから、あなたわたしの執事?」
「いや、わかんねーし。」
そもそもこいつ誰だ?
「今日ね、わたしの執事がくるの!」
俺の横に座りにっこり微笑んだ。その幼い表情は俺より少し年下くらいだ。
「銀色の髪をしてるっていうからあなたかと思った。」
「......俺じゃねーの?」
「え、本当!?」
キラキラと目を輝かせ馬乗りしてくるコイツ。
「ちょ、重ェよ。」
「レディに重たいとかダメよ!」
「はいはい。」
なんだコイツ、本当調子狂うやつだ。
「お名前は?」
「聞いてねーのか?」
「上の名前しかわからなーい。」
無邪気に笑うその表情。言うつもりがなかった言葉は勝手に喉を通り抜ける。
「......坂田、銀時。」
「銀、時かー。何歳?」
「少なくともお前より上。」
「年上なの!?」
「どんだけ驚いてんだよ。」
そっかー、と呟き顎に手を当て考える。コイツは絶対刑事ドラマか推理ドラマの見すぎた。直感的に思う。
「銀さん!」
「あ?」
「銀さんって呼ぶのー!!」
本当に嬉しそうに嬉しそうにくるくるとその場を回る。なんか蝶々みてー。
「わたし姫路野凛華!宜しくね銀さん!」
そうやって手を伸ばすお前の手を仕方なく握りしめた。
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