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まだ騒がしいパーティーも、主催者が急にいなくなってしまったので流れ解散になった。
わたし達ももう用事などはないので家に帰ることにした。
今日はスクーターじゃなくて歩きできていたので涼しい風にあたりながら夜道をゆっくりとした歩調で歩く。
「......はぁぁ。」
「さっきからため息ばっかだな。なんかあったか?」
「......。」
じっと溜め息の原因の銀さんを見つめる。彼は頭の上にハテナを浮かべてこちらを見る。
「俺か?俺なのか!?」
「......違うよ。ただ髪にゴミがついてたから見てただけ。」
「え、どこだよ!?」
わしゃわしゃと髪を掻きむしってありもしないゴミをとろうと足掻いていた。
その光景が子供っぽくて、つい昔を思い出してしまう。
「父様、母様!」
「あらあら、凛華ったらはしゃぎすぎて頭にゴミがついているわよ。」
「慌てん坊だな凛華は。母さんそっくりだ。」
「まあ、わたしは慌てん坊なんかじゃありませんよ。」
「......そういうことにしてやろう。」
「もう。」
「あはははは!」
あの笑顔の日々はもうどこかへ消えていってしまった。
今は両親両方とも忙しくあの頃みたいに家族全員でどこかへ行くことはない。
銀さんは子供の頃、どんな子だったのだろうか。
そしてどんな理由で執事を目指したのだろうか。
「ぎ、銀さん。」
「あ?」
バクン、と心臓を打つ音が一気に高鳴る。どうしてこんな高鳴るのか冷や汗が出るのかよくわからない。
「ぎ、ぎぎぎぎぎぎぎぎ。」
「吃りすぎだろ!」
「や、だってさ、あははは。」
「凛華がー!凛華が壊れたァァァァ!!」
やばい、このままだったら話がズレる。元に戻さなければ。
「ちゃんと聞いて!」
ぎゅっと銀さんの袖を掴み下を向く。急なことだったのでびっくりした顔でわたしを見る。
「なんかあったのか?」
「......。」
唇をぎゅっと噛み締め銀さんを見上げる。
すると怪訝な顔で言われた。
「高杉。」
「、」
「あいつに何か言われたのか?」
「ち、違う。わたしが個人的に知りたいだけ。高杉は関係ない。」
銀さんは無表情でわたしを見下ろす。なんだかぞっとした。
「何が聞きてーんだ。」
「......ぎ、銀さんの過去。」
そう言うとなんだか悲しく瞳が揺らいだ。その瞬間、聞いちゃいけないことを聞いた気がした。
「......座るか。」
「え、あっ、うん。」
ずっと立っていたのでちょうど足が痛かった。
銀さんはわたしの手を掴み座る場所に導かれる。導かれるまま座り、その隣に銀さんがどかっと効果音と共に座る。
「なんでさ、俺の過去聞きてーの?」
「......銀さんのこと、なんにも知んないから。」
「別に知らなくてもいんじゃね?」
「知りたいの!」
胸ぐらを掴み顔をこっちに向かせる。
「なんかよくわかんないけど、銀さんのこと知りたい!銀さんはわたしのこと色々知ってるくせに、わたし何にも知んない!」
「......。」
「興味本意で聞いて本当に悪いと思ってる。けどその気持ちよりも銀さんのことを知りたい気持ちの方が大きい!!」
「凛華...。」
「わたし、最近頭の中銀さんばっか。」
なに言ってんのか自分でもよくわからない。とにかく頭の中にある言葉を並べて銀さんに放つ。
「銀さんのせいだよ?銀さんのせいでわたし、おかしくなっちゃった。」
あぁ、恥ずかしい。自分から向かせた癖に顔を下に落とす。
「凛華。」
「......はい。」
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