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ざわざわ



いつものパーティーと変わらない光景。


だけど今回はなんだが全てが嘘っぽく見える。偽りの笑い声、偽りの笑顔、偽りのあいつ。


彼女たちの中でも一際目立つ彼女をこっそり睨んだ。


彼女は矢作拓羅嬢。インターネット業界のトップ様だ。


そしてそいつの隣にいる左目に眼帯をしている執事、高杉晋助。彼はお上品に立っていた。



ばちっ



最悪なことに目があってしまった。



にやり



不気味な笑顔でこちらを見た。寒気どころではなかった。


私は急いで目を反らし、そいつの目の届かないところへ行く。



「おい、おい凛華。」

「......な、なに。」



振り向くと少し不機嫌な銀さんが私を見ていた。



「ちょっと来い。」

「あ、ちょっ!」



まだパーティー中にも関わらず、私たちはその場を後にした。


幸い皆騒いでいて誰も私たちが出たことには気づかなかった。



「......くすっ。」



一人を除いて。










―――――――――――――.....










「ぎ、銀さん。」

「......。」



怖い顔をしたままの銀さん。


彼は会場を出て、客室であろう場所に私を押し込みドアを閉める。


私は彼に引っ張られ、ひとつの椅子に座らされた。



「手、見せろ。」

「?」



急にそんなことを言ってきた意味がよくわからない私は左手を出した。



「だああああぁ!!違ェだろ!?右手だ右手!!」

「え、は、はい?」



なんで右手限定!?しかもさっきから銀さん怖いし。


数々の疑問に頭を抱えながら、恐る恐る右手を出した。



がしっ

「わっ!」



彼は勢いよく右手を掴む。


そして、



ペロッ

「!!!!!?///」



なにをどこでどう血迷ったのかは分からないが彼は私の右手の甲を舐め始めたのだ。



「ちょ、なにしてんのおおおおおお!!!?」

「うるせーな、消毒だ消毒。」

「ちょ、」



消毒、て一体なにの?


手の甲に感じるざらざらとした感触。高杉にやられた気持ち悪さはなかった。


けど恥ずかしさでいっぱいで私は彼から目を反らしていた。


私はとんだ変人らしい。



「ん、完了。」

「〜〜〜〜っ。」



銀さんは私の右手を離し、向かい側の椅子に座った。



私はずっと下を向いていた。



「なになに凛華ちゃん。そんな顔真っ赤にしちゃって。」

「ななななんでもないし。」

「ならもう一回していい?」

「ダメェェェェェ!!」



クククッと笑い声を押し殺したような笑い方をする銀さん。


よかった、いつもの銀さんだ。


ほっと一安心し私の頭の中にある疑問が思い浮かぶ。


高杉とは、一体どういう仲なの?


威嚇し合う二人を見て思った。これはただ事じゃないと。過去になにかあったのか、ものすごく気になる。



「......ねぇ。」



けど、



「ん?」

「......な、なんでもない。」



そんなこと聞けないよ。私そこまで無神経じゃないし、というか人の過去探りたくない。


だけど、心の奥底では知りたい自分がニヤニヤと笑っている。



「パーティー戻ろう。」

「......大丈夫か?」

「こんなところで立ち止まれないし。それに、負けられない。」

「はっ、そうだな。」



私たちはパーティー会場へと戻った。



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