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よい子のみんなはもうおやすみにしているこの時間。


私は全然よい子じゃないから起きていた。


ただ堂々と起きていると銀さんに心配をかけてしまうのでそこら辺は配慮している。


そんな中、私は机の上に置いてあるパソコンの画面をぼーっと見つめる。


そこには「私立高等学校代表者へご案内」と書かれていた。


「………はあ。」


この行事を忘れていたわ。


最近色々忙しくてすっかり頭から抜けていた。いっそのこと一生抜けてほしい。


「……銀さん、大丈夫、だよね?」


ついてくるのは確実、問題はそこで何か問題を起こさないかということだ。


「……よし、明日にしよう。」


とにかく明日、明日になったらこれも無くなってるかもしれない。


そう願いながら、パソコンを閉じた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
―――――――………
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「朝だぞォ、起きろー。」



バサッと私の毛布を剥ぎ取る銀さん。これが毎朝の起こし方だ。



「やだァ、眠いィィ。」



ごろん、と横を向き猫みたいに丸くなる。



「………無防備すぎだろ。

「んー?」

「や、なんでもねェ。とにかく学校だろ?早く起きろ。」

「………あ。」



ガバッ、と私は勢いよく起き上がりパソコンを開く。



「はああああ。」

「んだよ?」

「………夢じゃなかったあ。」

「いや、だからなにが?」

「……銀さん。」



私は不思議そうに見つめる銀さんの手を握る。



「今日だけ護衛無しってのは「馬鹿かコノヤロー。」……ですよねー。」



がくり、頭が垂れる。



「あのなー、なんで俺が凛華を付きっ切りで護衛すると思う?」



髪を上手にクシでときながら話しはじめた。



「凛華が心配なの。わかる?」

「へ、」

「凛華可愛いからよ、ぜってー他のところで襲われるって。」

「かかかかか可愛い!?」



最高の褒め言葉に顔が熱くなる。



「だーかーらー、こうして銀さんが護衛してんの。」



それに、と付け加える銀さん。



「お嬢様を命懸けでお守りするのが執事、てモンじゃねーのかよ。」

「そ、そ、うです?」

「わかればよろしい。」



ニカッ、と笑うその笑顔は私の悩みを吹っ飛ばす効果があるらしい。



「ところでなんで今日限定なんだ?」

「……実はね、今日、私立高等学校代表者のお茶会があって、」

「へー、楽しそうだな。」

「どこが。アホの集まりよ。」

「まあまあ、怒んなって。で、俺を連れていきたくないのはなんで?」



……言いたくない。


けど、隠し事するのも嫌かな。


私は正直に話すことにした。



「ほ、他の人が、銀さんみたら、きっと学校みたいに、騒がれて、その、嫌な気分に、なるから……。」

「………。」

「しかも、そのお茶会、美人さんばっかだし、銀さんが、その……、うん。」

「その、なに?」

「……なんでニヤニヤしてるの?」



そこには先程とは顔が全然違う銀さんがいた。口元はにんまりとしている。



「ふーん、無自覚か。」

「?」

「ま、いずれわかる時がくるさ。」

「ちょ、なにその曖昧さ。」

「で、いつなわけ?そのお茶会。」



ちくしょー、話反らされた。



「………今日の9:00から。」

「え、学校は?」

「公欠として扱われる。」

「なにそのお茶会。すげー。」

「ただの暇人が集まる会よ。」



とにかく、と言葉を付け加える。



「あ、あんまり目立たないでよ……?」

「精神致します、お嬢様。」



その時の彼の笑顔は最高に気持ち悪かったのを覚えている。
 
 
 
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