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姫路野大企業。


この言葉を聞けば大抵の社長は冷や汗をかくだろう。そして自分も気に入ってもらおうと媚びを売るに違いない。


姫路野大企業とは、食品業界のお菓子業界のトップ。いわば社長様だ。


全国でよく知られているあのお菓子、姫路野大企業が生み出しました。いえい。また人気俳優や女優を使ってCMも出している。


おかげで若い世代からお年寄りまでと幅広い年代に愛されており、生産率は右肩上がり。


ここまでの大企業だと勿論ライバルもいる。てかいすぎて困る。しかもみんな良い奴ばかりではない、最悪な奴もいる。


良い奴は「お互い頑張りましょう。」みたいな互いをぶつけ合い成長していく、熱血系みたいな方々ばかり。


一方悪い奴は脅迫か何かで脅し姫路野大企業を裏で潰そうとする卑怯な奴らばかりで。


そんな危ない家庭に私は一人娘として生まれ、今まで大事に大事にこの18年間育った。



「じゃあ凛華、行ってくるな。」



夜遅い時、玄関で少し寂しそうな顔の父様が言う。



「はい、いってらっしゃいませ。」

「ごめんね。急な仕事が入っちゃって……。」



申し訳なさそうな母様。



「父様、母様。凛華は大丈夫ですのでお気をつけていってらっしゃいませ。」

「……そうね。しっかり者の凛華なら大丈夫よね。」

「あぁ。凛華はしっかり者だからな。」



しっかり者。そう二人は連呼する。



「いってらっしゃいませ。」



その言葉と共に父様と母様は玄関から出ていった。



バタン



扉の空しい音が響く。



「………しっかり者、ねェ。」



猫被ってるだけだっていつ気づくのかな。


はあ、溜息をつき私は二階にある自分の部屋へと上がる。


ここ姫路野豪邸は使用人を雇っていない。母様志望らしい。なんでも家のことは自分がやりたいだとかなんとか。


だから夜中急に仕事が入り海外に行く両親を除いたらここには私一人しかいないことになる。



ヒュウウゥゥッ

ガタガタ

「………。」



今日は一段と風が強いらしい。


何故か急に怖くなり急いで部屋へと駆け込んだ。
 
 
 
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