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ここは東京の一角にある超高級ホテル。私達はその中を歩いていた。



「すげーなァ。学生がお茶会するだけでこのホテル貸し切りだろ?」

「お茶会主催の人がそうしてるの。」

「つかお前さっきからウズウズしすぎだろ。」

「え、」



そんなにウズウズしてた?やばい、態度に出過ぎたかな?



「なになに?なんでそんなにウズウズしてんの?」



ニヤニヤと気味の悪い笑顔を浮かべながら聞いてきた。



「な、なんでもないもん。」

「本当かー?」

「本当!」



ぶ、と頬を膨らます。



「悪ィ悪ィ、イジメすぎたな。」

「気づくのが遅い。」

「まあ、そうこんな言ってる矢先に、」



銀さんは私の手を取り、そして扉の前までひいた。



「着きましたよ、お嬢様。」



ニコリと浮かべる笑顔はやはり許せるものではなかった。


ごくり、唾を飲む音が響く中私はその扉に手をかけようとした、


が、それを銀さんが止める。



「これは俺の仕事。」



そして、ギィと音と共に扉が開いた。私は睨みながらその先を見た。


そこには、



「まあ、凛華嬢じゃない。」


「凛華嬢、お久しぶり!!」



その部屋には20人もの人がいて、みんなが一斉に私に声をかける。


その中にひとり、耳を貫いた声があった。




「凛華お嬢様、いらっしゃい。」



このお茶会の主催者の



「矢作、拓羅……嬢。」



彼女たちは別々の私立高等学校に通う学校の代表者、つまり首席たちだ。


どういうわけか私達はこうしてわけのわからないお茶会に強制参加させられ、下らない話をしている。



「あら、後ろにいらっしゃるのは貴方の執事で?」

「え、えぇ。」

「ご紹介、してもらっても?」

「……構いませんよ。」



銀さん、と私は小さく呼ぶ。



「お初お目に掛かります、矢作拓羅様。

私、姫路野凛華お嬢様の執事を努めさせて頂いております、坂田銀時と申します。以後、お見知りおきを。」

「光栄だわ、坂田銀時。」



手を差し出す矢作。それをとり手の甲にキスをする銀さん。



「誠に勿体ないお言葉。」



私はこのやりとりを見ていられなくなり、ついに下を向いた。


だから、だから連れて来たくなかった。こんな辛い思いをするのならいっそ私ひとりで来ればよかった。 



「………銀さんの馬鹿。



しかしこれはただの八つ当たり。「これ」は執事がお嬢様にする挨拶にしか過ぎないのだ。


そう思っていてもズキズキ痛む心。



「私の新しい執事もご紹介、致しますわ。」



お入り、そう矢作が声をかけるとやってきたのはスラッとした男の人だった。


彼は左目に眼帯をしていた。



「ご紹介してあげて。」



矢作が声をかけると、彼は迷いなく私の目の前に来て膝を立てた。



「お初お目に掛かります、姫路野凛華嬢。私は、高杉晋助という者です。」

「高、杉?」

「あぁ。」



そう言って私の手をとる。



「以後お見知りおきを。」

ちゅっ



彼は手の甲にキスを落とした。



「ひゃ、」



気持ち悪い、そう思った次の瞬間、



「高杉ィ!!」



銀さんは私と高杉さんの間に無理矢理入り、私を背中で隠す。



「んでてめーがここにいんだ?」

「クククッ。世間は狭ェな、銀時。」

「??」



このふたりは知り合いなのだろうか?でも知り合いにしてはすごい険悪だ。



「さあ、楽しいお茶会の始まりよ。」



幕は開けられた。 
 
 
 
 
 
 

私の執事は問題児
 
 

矢作拓羅が言ったその言葉には何か裏があるのかないのか。

ただこの先、なにかありそうな予感はした。

 
 
 
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