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「......。」
こちらをニヤニヤニヤニヤしながら見る視線というか眼差しがものすごくうざったい。しかも単数じゃなく複数感じる。
ここ最近そうだ。まるで恋した娘を陰から見守っているようなそんな眼差しをこっちに向けて。机に伏せていてもわかるぐらい。
耐えきれなくなり顔を上げた。
「お、凛華。だだだだいじょうぶか?」
教科書片手に冷や汗かきながら私を見るこいつ。こいつの眼差しというものが一番うっとおしくて堪らない。
「腐れ天パ。」
「なっ!?」
心で思ったことをそのまま言葉とし、吐き出した。何故か彼は泣きそうだった。
「俺に当たるなよ!!あいつがいねーからって!!」
「被害妄想激しすぎでしょ!?」
そう、今日は後ろの人は朝はいたのに午後から見当たりません。一体どうしてでしょうか?
って、そんなことじゃない!
「この眼差しいい加減うざいいいいいいい!!」
とうとう耐えきれなくなり私は叫んでしまった。
「なんでィ凛華。そんなに寂しいのかィ。」
「......意外に寂しがり屋なんだな。」
「お妙さんと同じだ!ガハハハッ!」
「ちょ、待て待て。誰が寂しいと言った。というかそれ前提で話を進めるなァァァァ!!」
ああ、誰か私の心の中を通訳してくれる方を連れてきてください。そして彼らに私の心の中を説明してやって下さい。切実にまじで切実に。
あの日、そうなんか私が告白に近いことを言った日から3zの暖かい眼差しが始まった。
うざい。極まりなくうざすぎる。
それゆえ私は今学校が憂鬱で仕方がない。
「そーいえば高杉のやつはどこにいったんでさァ。」
「さあ?サボりなんじゃねーの。」
みんなが何故高杉くんがここにいないかを知らない。が、私は知っている。
腐れ天パの声を拒絶し、私は外を眺めた。相変わらずの青空で少し腹が立つ。
そんなときに見た。高杉くんが昼休み、たくさんの女の子を連れて屋上に行くのを。
いや、知ってたよ?高杉くんが人気者のことくらい。承知の上さ。
その前にこんなことで私がイライラしたり不安になったりするほうが重体だと思います。
べべべべべつに羨ましいとか思ってないし、うん。
「なにぶつぶつ言ってるネ凛華。」
「え、あ、なななんでもないよ。ちょっと銀ちゃんに呪いの呪文唱えてただけ。」
「凛華ーーー!? 」
「そうだったネ邪魔したネ!引き続き頑張れヨ。」
「神楽てめェェェ!!」
「うん!」
「お前も笑顔で頷くなァァ!」
こういう時だけは考えなくて済むからすごく楽なんだよね。
「銀ちゃんの頭もっと天パになれーー。」
「ぎゃああああ!!やめろォ!!なんか効き目ありそうだからァァ!!」
あ、高杉くん。
ふと外に目をやるとうざったそうに女の子を引き連れて校門に向かっていった。
もう帰っちゃうんだ。
そう思うといつも以上に「寂しさ」というものが増した。
それは心の中の隅という隅を埋め尽くすように入っていって、私を色々な意味で殺していく。
私は、本当にとんでもないやつに恋をしたらしい。
......あれ?私恋してるって認めちゃったよ。
にんきもの
違う意味の人気者さんは私の心を奪ったまま、校門へと向かっていった。
奪われた私はあなたの小さくなった背中を消えてなくなるまで見つめていた。
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