チョレギ! | ナノ


 今日はあることを実行しようと思う。私にとってはかなり楽しみ。一日中ずっと早く時間過ぎろ!って念じてた。授業が終わって時間潰しに部活行って適当に作品取りかかって先に帰らせてもらってうきうきしながら校舎を出た。向かうは部室棟。相変わらず日が暮れてしまって気持ちばかり照らされた明かりの中歩く。たぶん私の予想ではまだ帰ってきてないはず。部室棟の前で携帯を開いて時間を確認する。
「あ、実玖さん!」
「どうしたんすか?」
「ちょっと人待ち」
「一人すか?危ないですよ」
「あはは、大丈夫だよ。早く帰りなー」
 部活終わりの後輩と少し会話したり、同級生にお疲れって言ったりしながらしばらく待ってた。10分ほどして、また部活終わりだろう集団がチャリ乗って現れたからそっちを見る。部活終わりだってのにかなり元気。一番初めに近付いてきた子が私を見つけるとビックリしたように後ずさった。
「どした?三橋」
「えっ…うわっあの人だ!」
「あの人?……あっ」
「実玖サン!!」
 パンダでも見るかのようにみんなして私を不思議そうに見てる。それよりもその子達が着てるユニフォームに私は目がいった。そして視線を素早くささっと移動させて目当ての人物を探す。すぐに見つかった、一人だけ迷惑そうな表情。
「ターカヤ!」
 嬉しくって手を振ったらますます迷惑そうな表情して、うわあかわいい。
「隆也って……阿部!?」
「おいっ阿部!どういう関係だよ?!」
「なんで名前呼び!?」
 ざわざわ騒がしくなると隆也はもう眉間にふっかいシワ作ってイライラしてるみたい。ズカズカと私の方に近付いてきて私とほとんど同じ目線で睨んでくる。
「何で来てんだよ!」
「一緒に帰ろうと思って」
「うっぜ…」
「阿部お前何様だー!」
「そうだ!」
「相手が誰か分かってんのか!」
 隆也の発言に後ろにいる子達のブーイングがすごい。あ、キレる。
「っるせえ!自分の姉貴に何言おうが勝手だろが!!」
 一瞬にして静まりかえる。
「えっ…あねき…?」
「誰が、誰の…?」
「このデカい顔だけ女が、オレの」
「デカい顔だけ女ってお姉ちゃんに向かって失礼な!」
「うるさいバカ姉貴」
 やだわ思春期真っ只中って。昔は実玖ちゃんって後ろ追いかけまわしてくれたのに。寂しいわねー。
「えっ…マジで言ってる?」
「阿部…君の、おねぇ……さん」
「「「ウソだー!!!」」」
 何人かが声を合わせて否定する。けど、事実なんだからしょうがない。私は隆也の姉で隆也は私の弟、産まれたときからそうなってたんだもの。


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