ねことわたし | ナノ

新着メールあり





おかしい。

【赤葦くん、ベッドで寝てたよね?】

登校中にきたメール。
朝、おはよう、と数回の会話をしたのち、何かを聞きたそうにしてる宇多川さんを軽く遮り、家を出た。

おかしい。
あの子おかしい。

ケーキを買った。
お礼に。
あとお詫びに。

でもそれ、あーん、とか自分からやるか?やるのか。やるんだね。
そうか。女子そうなんだ。へえ。

「お、赤葦。」
「おはようございます。」

あくびをしながら木葉さんが隣にきた。電車で出くわすのも珍しいな。
木葉さんは携帯をいじる。
とっさに自分の携帯にロックをかけてしまう。

「あの・・・」
「んー?」
「女子にあーん、ってされたことあります?」
「は?」

木兎さんは煩いから、木葉さんに聞く。
本人は気づいてないが、彼のファンはひっそりといる。本当気づいてないだけで。

「え?なに、赤葦。アーン、してもらったの?ねえよロマンじゃね?」
「・・・なんかすみません。」

【昨日みたいなこと、無防備に男子にやらないほうがいいよ。】

とりあえず見られないように返信する。
この気持ちはなんなんだろうか。

マネージャーが食べさせ合いっこしているのは何回か見る。主に白福先輩からで、雀田先輩は照れているけど。

木兎さんや木葉さんが何か言えば、「女の子同士だからいーの。」と返されていた。

・・・そうか。

「男以下か。」

小さく悪態を吐く。
180超えた男を男として見ないなんて、やはり宇多川さんは変だ。






・ ・ ・






【昨日みたいなことってなに?】
【水?】
【あ!お皿洗わせたこと?!】
【ごめんなさい!私が洗うから、昨日はありがとう!】

昼までにきたメール。
全部シカトだ。

ケーキに関してはスルーなのか。

今日も木兎さんから逃れ、裏庭でパンをかじる。授業がおわるごとに一通ずつ来ていたが、最後のメール以来何も来ていない。
無視は失礼だったろうか。
本気でケーキの件気づかないのか?それとも彼女は平然とそういうことをするのか。
・・・別に、嫌な思いをしたわけではないんだし。

さすがに返事を返そう。
でもケーキの件だけど、なんて触れるのもちょっと癪なので、愛猫の写真を送る。
するとすぐに返事が返ってくる。

【かわいい!】
【でしょ。】
【あの猫ちゃんだよね!他にはあるの?】

それに対して数枚写真を送る。
正直こんなに短い文章なら、ラインでやっても良かったかな、とも思う。

けれどあのラインはポンポンうるさいし、すぐにバレるし、名前表示されたままだし。
メールならスクロールできるし。


【ところでその猫ちゃん、なんて名前なの?】

完全に話が猫にそれる。
そう言えば、初めましての時もそうだったけど、この人、1つのことに集中しだしたら、それしか見えなくなる。

・・・ケーキの時も、ケーキに集中しすぎたのか?
いやいや、無い無い。

【ハム】
【・・・女の子なのに?】
【子】

そうだ。ハム、雌だ。
いつもハムって呼んでたから。と言うか名前だし。
・・・嘘をついてしまった。まあ、いいか。

【なんでハム子?】

その質問に、また、俺はメールを無視しようと決意し、携帯にロックをかけた。





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