ねことわたし | ナノ

よろしくお願いします



さて、どうしたものか。
今日の学校を終え、家に帰って数時間。
えっちゃんの提案を、赤葦くんに、聞こうと思っているけど、彼の帰宅時間がわからない。
21時までなのは確実なんだけど、具体的なのがわからない。
運動部の時間ってわかんないなー。えっちゃんに聞けばよかった、と後悔。
今日はきちんと卵買ったよ、特売日。
猫缶とか猫砂とかは、ok出てからにしよう。俺様にこんな安い缶詰が合うわけがなかろう?って弾かれたら泣くもん。

しかし、冷静に考えれば猫ちゃん甘やかしすぎでは?さすがにふくよかすぎる。
元々がぽっちゃりさんとか?

それを言うなら、我が両親も身体にわがまますぎるけど。もともとは痩せすぎ、レベルだから、太って丁度いいけど。大丈夫かな。
各国のステーキ三昧とか、してないかな。


とりあえず今日はチキンライス、作ってある。卵は後でにするもん。
ご飯は食べたのだろうか。
話し合いをしていないから、食べてから来るのか、もしかしたら出会う頃には猫になってるかもしれない。

時計の針は20:00を回っている。
どうやって確認すればいいのかな。

ちょっと見てこようかな。
鍵と財布を持って、家を出る。
そこで、考える。
彼はどのルートで帰っているのか。
人通りが少ないけど一本道で比較的近い方か、ちょっと遠いけど、大通りをずっと通る安全な道か。音駒生の通学路だけど。・・・前者か。

ならば鉢合わせするかもしれない。
駅の方へと足を進めようとした矢先、目の前に朝見たグレーの制服。

「赤葦くん!」
「宇多川さん。・・・朝はありがとう。」
「いえいえー」

赤葦くんは律儀にお礼を言ってきた。朝も言ってくれたのに。よく出来た人だ。

「そうそう、私提案なんだけど、」
「・・・なんの?」
「猫になってる間だけ、うちで寝る?」

用件だけを短くいえば、赤葦くんは眠たい顔のまま、止まる。
まあ、爆弾発言だよね。
うちで寝る?って。新手のナンパかよ。ないない。

「うん」
「・・・え?」
「え?」
「・・・え?」

いやいや、そこは、「は?」って眉をひそめるところであって、すぐに肯定しなくない?
なんとなく、理由を話して、しぶしぶ了承するもんじゃないの?

「でも両親は大丈夫なの?宇多川さん。」
「あ、うん。お父さんとお母さん、世界一周旅行中だから。」
「規模がでかいな。」
「まあ・・・」

あの父とあの母だもの。
金銭感覚の狂ったプレゼントばっかりくれるもん。お人形さん欲しいって時も、1体でいいのに、人形のお友達と、私の友達が遊ぶ用とか、なんかもうその他服とかも何着とか。・・・親バカめが。

「ちなみにいつ帰ってくるの?」
「来年かなぁ。」
「でも、宇多川さん。俺、男だよ。」
「まあ、見たらわかるよ?」

そうじゃなくて、
と赤葦くんは首を振る。
そして、下を向いて黙り込んでしまう。これで女だったら今まで赤葦くん、って言ってたのを全力で謝らなきゃじゃないか。赤葦さん、じゃないか。しかもオレっ娘?そもそもズボンだしね。

「・・・何かあったらどうするの?」

その言葉で今度は私が下を向く。何かあったら・・・。

「私の部屋から出ないでね!」
「え」
「赤葦くん泥棒するってことでしょ!だ、大丈夫!両親の部屋、鍵、かけとくよ!」
「・・・いや、しないし。」

なんだ。しないんじゃん。

「その時は遠慮なく110番するから!」
「・・・あ、はい。」

なんか赤葦くんが違うぞー、って顔してるけど、それ以外なんもないでしょ?は!まさか破壊神?!窓とか!

「割るの?!」
「何を?」
「・・・いえ、何も。」

なんでちょっとイラついてんだよ。そうだよね、泥棒扱いしたもんね、すみません。
でも自分から言ったんじゃないか。私は無実。




赤葦くんの家は猫バカだけど息子に対しては超放任らしい。というか朝帰りすると泣いて喜ぶとか、・・・おかしな家族。
なので、話し合いの結果、色々と大変なので、一旦家に帰り、準備とかした後に、我が家に猫になりに来ることになった。

猫砂も餌もいらないって、なぜなら本当に一瞬たりとも目が覚めないらしい。怖い。
ほら、つまり起きれないじゃん。危ない危ない。
これで、清々しい朝に隣人の以下略事件は起きない。

こうして、私と猫葦くんの奇妙な生活は始まるのであった。





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