「俺はすごく怒っています。」

こんにちは、残暑があるざんしょ。
残暑っていうかまだ夏真っ只中ですけれども。
爽やか先輩がご乱心みたいです。

「どうしたんですか?菅原先輩。」
「桃谷〜、もうすぐ夏が終わっちゃうよなぁ。」
「そうですね。あと一週間きりましたよ。」
「花火」
「はい?」

こんな真夏のお昼から、ぐんぐん牛乳はないと思う。うわぁ、口の中牛乳だぁ、ってなっちゃわない?

「見たかったなぁ」
「この間ありましたね!合宿で見れませんでしたけど。」

丁度東京の方、あれ?埼玉だったっけ?大自然で合宿したじゃないですか。スイカたくさん食べたし、英里ちゃんとアドレスも交換したし。

「お祭り、屋台」
「それも花火の日でしたし、しょうがないですよ。」

はぁ、と深くため息をして、菅原先輩は言った。しょうがないよ、合宿だったし。私には実りのある合宿でしたよ?

「いやそれは仕方ないのわかってんだけどさぁ?」
「みんなたくさん学んだ良い合宿だったじゃないですか。」
「いや桃谷が言いたいこともわかんだけどさ?」
「じゃあ切り替えましょうよ、菅原先輩。」
「プールは?」

汗を拭いながら先輩は言う。

「まだ夏休みあるから行けば良いじゃないですか。」
「水着」
「まぁプールには必須ですよね。まだ売ってますし。」
「・・・行きたかったなぁ」

残暑先輩、今日はとても駄々っ子だな。駄々っ子先輩だ。

「まだ間に合いますよ、先輩。」
「桃谷と行きたかったなぁ、」
「私ですか?」
「そ。桃谷とふたりで」
私と2人でプール?大人数で遊んだ方が楽しくないですか?夏の思い出ならなおさら、ねえ?

「なんでですか?」
「なんで・・・って、わかんべ後輩ちゃん」
「わかりません。」
「かわいいかわいい後輩ちゃん、さすがにわかんべ?」

わかんべ?を強調しながら菅原先輩はもう一度言う。私は舞ちゃんと行く約束しちゃいましたけども?なんか伊達工2年も数名くるとか。あの鉄壁たち来るとか、強そうなボディーガードみたいで良いじゃないか!
性格悪そうなの1人いるけど、まぁ、気にしない。

「MR.残暑先輩わかりません。」
「菅原先輩は後輩ちゃんを独り占めしたいんです」
「何故ですか」
「何故と聞いてしまうんですか。」

何故か敬語になる先輩。
遊び行くなら親友とか仲良い人と行くのが普通ではないのでしょうか?

「好きだからです」
「プールが?」
「桃谷が」
「いやいやいや」
「うーわー、なんちゅー否定の仕方。」

また深くため息を吐く先輩。

「菅原先輩は清水先輩が好きなんじゃないんですか?」
「え?!なんで清水?!」
「え?すごくお似合いじゃないですか!」

そう答えれば、ええ?!とまた驚いて、片眉を上げた。私は変なことは言っていない。こっそり菅原清水先輩ペアを応援している。
西谷田中には言えないけど、縁下には言った。
この子、バカな子だなぁ、って顔されたけど。お似合いだと思いません?

美男美女、まさに2人に似合う言葉だよね?
青城の人?
あれはチャラそう。自分がイケメンなことを存分に理解した上で女の子手のひらで転がしそう。最低。

「いたっ、なんで叩くんですか。」
「人を見た目で判断したらダメだろぉ?桃谷。清水に俺は釣り合わないって。」
「そんなことないですよ。それに私に菅原先輩はもったいない」
「勿体無くない勿体無くない。俺たちお似合いだと思うけどなぁ。」

な?と首を傾げてきても、そうは思いませんよ。菅原先輩はわかっていない、自分が中々にモテることを。
たくさん告白されてると思うんだけどなぁ。

「とりあえず行こうって、プール。まだオフの日あるし。」
「わかりました、縁下達には私から連絡しますね。」
「ちょちょちょ!違うから!今までの会話思い出して!」
「菅原先輩がプールに行きたすぎて死んじゃうってことまでは理解しました。」
「プールなんてどうでもいいっての!」
「先輩言ってることめちゃくちゃです。」

まじかよ、と呟きながら、先輩は頭を掻いた。そしてまた汗を拭う。

「・・・桃谷は俺と出かけたくないってこと?」
「そんな事はないですよ。」
「へー?」
「プールは伊達工の人と行くんです。」
「なんで伊達工!?」
「約束しましたから。」

そう言って鞄から手帳を出す。
舞ちゃんand伊達工とプール、と書かれた場所に指差す。そしてね?と先輩に言う。

「男は。」
「男子バレー部が数名。」
「なんで?」
「だから約束したから。」

そう答えれば、じろりと睨まれる。

「ちょっと手帳見して。」
「すみません、私今手帳もってなくて。」
「桃谷。お前が手に持っているものは、手帳って言うんだよ。」

そう言って私から手帳を奪う先輩。
取り返そうと手を伸ばせば、上にあげる。
そして手帳を凝視する。

「泥棒ですよ先輩!」
「25空いてる?」
「・・・特に予定は無いですけど。」
「じゃあ開けといて。」
「すみません、爆睡って予定がありました。」

そう答えれば、先輩に見下ろされる。
冷ややかな目で。
なんて人だ、人を見下すなんて月島だけで結構!

「痛い!」
「痛くないだろぉ、ぺち、だけなんだから。」
「叩かれたら痛いんですよー?」
「ペン貸して。」
「oh.I don't have pen。」
「先輩そろそろ怒るぞー?」
「・・・どうぞ。」

先輩いつも優しいのに!
今日は全然優しくない!爽やかでも無い。

「よしよしいい子。・・・ほい、書けた。」
先輩は頭を撫でてからペンと手帳を返してくれた。急いで25日を確認する。
って、

「なんですか、この彼ピッピとデートって!」
「え?いーじゃん。」
「死語ですよ!古い!」
「え、そこですか。」

くそ、ボールペンで書きやがって!
消せないじゃんか!誰だよペン渡したの!私だよ!

「それに私彼氏いますから!」
「いやいや、どうせ『画面から出てこないんですぅ』系だろ?」
「そ、そんな事ないもん!」

そう言って先輩を睨むが、ノーダメージらしい。満足そうに頭を撫でる。

「なでなでしないでください!」
「なでなでって、可愛い言い方すんなぁ。」
「とにかく!」
「あ、もっかい貸して」
「先輩!」

先輩は私の話を聞かずにノートにまた書き足す。

「・・・プールはどうしたんですか。」
「プールは伊達工に取られたので。」
「ベニーランドって。」
「せっかくのデートですから。」

先輩はまたも頭を撫でる。
くそう、私で遊んでやがる!

「デートじゃありません。」
「いいデートにしような。」

残暑先輩からウザす先輩に変わったのは言うまでもない。



爽やか系男子の計画的犯行
(絶っ対行きませんから!)(とか言って来てくれる桃谷のそう言うとこ好きだから)(もう!)








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