「白布ってしらす丼好きらしいよ。」

コンビニに寄った帰りに、一つ下の後輩に会った。
大人買い、とか大人気なくお菓子を買っていたのを見られ、「みんなに買ってあげたの」と誤魔化しのためにお菓子を一つあげた。
五色は嬉しそうにチョコを食べながら、「知ってます!」と元気に返事をした。

「しらす丼って事は生しらすもなんですかね?!」
「うーん、しらす丼だからいいんじゃない。」

私は生しらすあんまり好きじゃない。
ちなみにウニも嫌い。

「川西はすき焼き。」
「はい!それも知ってます!」
「牛島先輩は」
「ハヤシライスですよね!」

なぜこんな話になったかというと、お菓子を買っているときに「先輩お菓子大好きなんですね!」とキラキラした瞳で言われたから。
私個人としては、甘党を隠したかったからだ。クールキャラ目指してるからね。
大体いつも「コーヒー?ブラックだけど」と大人ぶっている。実際は砂糖ミルク山盛りだ。ブラックコーヒー?あんなもの飲み物じゃない。
話を誤魔化すために、他のメンバーの好きな食べ物の話をしている。あくまでも、私が甘党だってことを忘れさせるために。

「さすが五色、牛島先輩の好きな食べ物知ってたんだね。」
「当然です!俺はエースになる男ですから!現エースの事はしらべましたよ!」

五色は確かに上手いけど、褒めて褒めて精神が強すぎんだよな。
先輩達引退したらどうするの?
白布も川西も褒めないよ?
・・私?私も褒めないよ、クール系だもの。

「瀬見先輩は鉄火巻き。」
「マグロの握りもアリですかね?」
「さぁ?天童先輩はチョコアイス。」
「あー!この時期はいいですよね!」

部活上がりのアイスは格別だねぇ、と嬉しそう食べてた先輩を思い出す。
その横で山形先輩が「飽きねーのか?」とか言ってたよな。

「鈴音先輩!山形さんは何が好きなんですか?」
「ウニ丼。」
「高級だっ・・・獅音さん!」
「鯖の味噌煮。」
「あー!あれも美味しいですよね!」

お腹すいてきたな、と五色が呟く。全くその通りだ。飯テロだ。
今日は何食べようかな。

「じゃあ鈴音先輩!!」
「はいはい?」
「俺の好物わかりますか?!」

ごちそうさまでした!とお菓子のゴミをすてて、五色は律儀にお辞儀をした。

「知ってるよ、カレイの煮付けでしょ?」
「正解です!さすがです先輩!」
「まぁマネージャーですから?」

ほぼ毎日いるんだ。
去年は天童先輩の思いつきでクリスマスパーティーをやった。
鷲匠監督がおはぎをくれたな。
しまった喜んで平らげてしまったから甘党だってバレてるかも。
いや待て待て五色1年だからいないね。よかった。

「先輩、あともう一つ教えてください。」
「うん?」

何かを知りたそうな顔で五色は言った。

「私にわかる事ならいいよ。」
「大丈夫です!絶っっっ対わかります。」
「おお、断言したな、言ってごらん。」

そう答えれば、五色はなぜか勝ち誇った顔をした。

「先輩の好きなタイプはどれですか?」

五色はそう聞いて、私を見る。
好きなタイプ?

「草系かな?」
「草食系男子ですか?!」
「え?お肉も食べるんじゃないの?」

草タイプだから言って、草しか食べないこともないでしょうよ。

「って、違いますよ!そうじゃなくて、タイプですよ!タイプ!」
「タイプ?あぁ。セッターかな。」
「やっぱり白布さんかぁあああ!」
「え?!何が?」

白布さぁぁぁあん、と大声を出しながら五色は頭を抱える。よくわからないが、瀬見先輩は無いのだろうか。

「ポジションじゃないです。好きなポジションのタイプじゃ無いです。すみませんもっとはっきり言いますね。」

ばしっと膝を叩きながら、五色は言う。
こちらこそ理解していないみたいで申し訳ない。

「先輩の、好きな異性のタイプを教えてください。」
「え」
「どんな人が好きですか?」
「どんな人って言われてもなぁ」
「俺とかどうですか!」

やたら食い気味に五色が言ってくるので、すぐに答えられずにいれば、変わらぬ勢いで口を開く。

「俺じゃダメですか?」
「え、何が」
「好きなタイプです。」
「え」
「俺は迷わず鈴音先輩って答えます!」

ん?どう言うことだ?

「教えてください先輩。どんな人が好きですか、そうなれるように努力します!」
「え?え?ちょっと待ってよ」
「知性的な人ですか?これからたくさん勉強します!それとも力持ち?筋トレ頑張ります!頼り甲斐のある人ですか?これから目指します!」
「待って待って五色!」

慌てて五色の肩を掴む。
待て待てこれじゃあどう考えても、

「俺、今告白してます!好きです先輩!」
「自分から告白してますって報告するんだ・・・」
「はい!だからどうすれば俺にときめきますか?!」
「えー・・・」

たまたま瀬見先輩が通りかかるまで、五色に言い寄られる1日であった。







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