「及川ってさ、」
「はいはーい」

それはは何気ないひと時だった。
部活を終え、俺、岩ちゃん、マッキー、まっつん、そして鈴音ちゃんでラーメン行こうってなって、そのための部誌を書いていた。着替えも済んだし、あと部誌だけ、と気合を入れた。

鈴音ちゃんは携帯をいじりながらこう言ったのだ。


「岩泉と付き合ってるの?」

本当に何気なく、携帯をいじったまま。
シャーペンの芯は折れるし、岩ちゃんは牛乳吹いちゃうし、マッキーはシュークリーム握り潰すし、松っつんは・・・


「ななななんで、そうなるのかな?!ないない!ないでしょ?!つかまっつんはなんでノーリアクション?!なんかあるでしょ!」

考えてもみなよ?俺は男、岩ちゃんも、男。
好きな子いるし、あっちもいるみたいだし!

「花巻手、汚いよ。」
「鈴音の爆弾発言で爆発した。」
「シュークリーム爆弾・・・。」

鈴音ちゃんがドン引きした目でマッキーの手を見ている。そうだね、グチャっていったもんね。開けたばっかだもんね。
ていうかなんでシュークリーム持ってんだし!


「花巻なんでシュークリーム爆弾もってるの?そういえば。」
「及川のカバンから取った。」
「そうだよね!俺がさっき女の子からもらったやつだよね!?」

いつものことながら、女の子からもらったやつ。さすがに量が多いからって、いつもは鈴音ちゃんにあげてるやつ。
もったいないねぇ、とマッキーにハンカチをわたす。違う、そうじゃないでしょ。

「とにかく鈴音ちゃんさぁ?俺と!い、いい、岩ちゃんがつ、つ・・・付き合ってるって、なんでそんな発想になったの?」

そう聞けば、鈴音ちゃんはまぁねー、とよくわからない返事をした。
そして、マッキーの手を見ながら、ばっちいね、と続けて言った。


「鈴音ちゃんはなんで無視すんのかな!ほら!岩ちゃん見てみなよ!石化だよ!」
「だって、及川、口開けばすぐイワチャン、イワチャン、だから、付き合ってるのかなって。」
「いやいや、幼馴染だからね!そりゃあ何かと呼んじゃうけど、違うじゃん?違うよね?ね?」

想いを寄せる人に、ホモ扱いは勘弁願いたい。それにほら、こう言ったらなんだが、女子人気が高いんだよね、俺。
デートもするし。それなのに、ホモ、はない、ホモ、は。

「でももうそういう風にしか見えないよ、及川が女ね。」
「さぞ美人だろうね!俺が女だったら!でも男だから!」
「俺の意思はどうすんだ。」
「それはごめんだけど。」

なんでさっきから無視するんだ意味不明すぎる。

「実は家では徹とはじめ呼び、的な?きゃー!!やだー!無理ー!助けて花巻ー!」
「ほーか、純粋な気持ちが踏みにじられたのね。」
「おい、だから俺の意見は。」
「は!!逆かもしれない!実は及川がぐいぐいと岩泉にアピールして、岩泉は嫌なんだ!」

何からどこからどう突っ込めばいいんだろう。岩ちゃんに目をやれば、諦めたのか今度は水を飲んでいた。

そうか。

この際、今、言えってことか。


「いや、俺が好きなのは、鈴音ちゃんだからね?おーけー?」

はっきり言ってやったぜ。ワイルドでしょ?
でもなんで静まり返ってんの?松っつんに関しては「んんっ」と咳払い。岩ちゃんは水に口をつけたままとまる。

まてまて、しらけるなよ。


「なぁんちゃ」
「無理だわー、無い。無い無い無いわー。」
「いやいや、及川それはない。」

なぁんちゃって☆がかき消された挙句、全否定された挙句、マッキーにまで否定される。
ちょっと勘弁してよ、何俺空気読めてないの?

松っつんが再び咳払い。




おいおい待てよ。マジで勘弁して。


「もしかして・・・、鈴音ちゃんって」
「うん、俺の彼女」

誰か俺に藁人形か飛雄をください。全力で殴るから。
公開処刑からの公開処刑とか、誰得?
ああそうかい。俺は恥ずかしいやつな。

「なんてね!嘘嘘うっそぴょーん!」
「及川かわいそう。ね、一静」
「許さない、担々麺おごりな。」


さようなら、俺の青春。


これが失恋というらしい。
(私とろろラーメン!)(じゃあ俺追加でハミマのシュークリーム)






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