烏野に、負けた。
弱いチームではなかった。
インターハイだって、いい試合だった。


ああ、強いんだな。
思ったと同時に、終わったんだ、という虚しさ。



「おつかれさま。」
「・・・ん。」

俺めっちゃ活躍してやるから、なんて大口叩いて。いいとこ見せるべ、なんて。
泣くな、なんて難しい話。


相当の力を込めて、小柄な鈴音を抱きしめる。首に顔を埋める。痛いはずなのに、なにも言わないで、頭を撫でてくれる。

男として、彼氏として格好が悪い。
でもそんなことより。
涙を抑えきれないほどに、バレーに熱中してたんだな、って、思った。


「貴大くん、すごい、かっこよかったよ。」


耳元で囁いてくる優しい声。
抱きしめる力は強まるし、涙は止まんないしで、嗚咽交じりに返事をした。
あぁ、これ及川のポジだろ、くそだせえ。

きっと松は、こんな風にはなってないんだろうな。負けちゃったわ、とかさらっと言って、彼女ちゃん抱きしめるくらいで。こんな号泣はしないんだろう。
逆にあそこは彼女ちゃん泣きそうだよな。そういうタイプだし。

岩泉も、泣かない。
なんだよあいつら男前かよ畜生。



「貴大くん。」
「・・・ん。」


呼ぶだけ呼んでなにも言わない鈴音。幾分か落ち着いた気持ちで、彼女を見る。それで気づいた。すごい堪えてるって。



「鈴音・・・」
「ご、・・・っごめんね。辛いのは、貴大くんなのに。っわたしが、泣くのは、だめだよね。」



ごめん。


その言葉が出なかった。




かわりに再び抱きしめて、また、号泣した。


声を荒げて、

2人で。




 Cry 
(・・・ごめん。) (えへへ・・・真っ赤だね)







back |

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -