あいしてる。
たった5文字。されど5文字。
一言も言われたことがないそれは、きっとすごく意味のある、大切な一言なのだろう。
別に彼を疑っている訳ではないのだが。
「わ、若利くん。」
一回だけでも言われたいなぁ、なんていうのが女の子だろう。
見るからに天然、実際ド天然鈍感野郎(そこが好き)なんだから、言わないのわかってるけど。
「どうした、鈴音。」
「つ、月が、綺麗ですね?」
よし、ようこそ夏目先生。夏目漱石先生。
そう言って窓越しに月を見る。
「・・・そこまで、綺麗だとは感じないな。」
「・・・そうだね。」
そうだね、雲が邪魔だね。うまく見えないね。伝わってないよね、そうだね、若利くんバレー以外ぺーぺーだもんね。なんか、すみません、本当。
「わ、若利くん、」
「どうした。」
「す、す・・・好き、だよ?」
さあこい!あいしている。は無理にしても、好き、は言ってくれるよね、さあこい!
「そうか。」
「・・・ハイ。」
えええええ?!それだけ?!
え?好き、に対して答えがそう?いやいや、ちょっとよくわからない。私たち付き合っているんですよね?そうですよね?
「若利くん、は?」
「・・・俺は何か変なことでも言ったのか?」
「い、いやいやいや言ってない言ってない!全然、平気、元気、大丈夫。」
「俺も元気だ。」
あ。うん。
わっかりましたー。おーけーおーけー!遠廻しダメね。いや。でもさ、なんていうの。これでなおかつ、大胆だったらもう私鼻血出して倒れるのに。
「わかった、この際、はっきり言うね。」
「?ああ。」
私、自分からは照れないタイプだから。うん。照れてしまえこのド天然野郎(そこが好き)。いい?いくよ。
「あ、あああ。愛、」
無理!!目と目を見つめてaishiteruとか死ぬわ、誰か天童か瀬見くん呼んできて!そしてあいしている。って若利くんに言わ
「ああ、俺も愛してる。」
「っっっっばか!!!」
・・・言うんかい。
とりあえず、幸せ。
I Love U(何故、怒るんだ?)(怒ってないし!)