7月3日



+テニスの王子様・南健太郎
*同じクラス・マネージャー。南視点。 誕生日。


***


「みーなーみー」

放課後、部活に行こうと廊下を歩いていれば間延びした声で名前を呼ばれた。そちらの方を振り返ってみれば、同じクラスでテニス部マネのみょうじの姿が視界に入る。その手には何かの資料を抱え持っている。

「どうした?」
「伴田先生から預かった資料。今週末にある練習試合のだって」
「ああ、昨日話してたやつか。言えば俺が取りに行ったのに」
「職員室に用事があったついでに渡されただけだから、気にしないで」

苦笑いを零しながらみょうじは俺に資料を渡してくる。今日のミーティング辺りで話しをするか。ぼんやりと考えながら部室へ行く足を進めれば、その隣をみょうじが並ぶ。

「あと、今日は職員会議があるから伴田先生来れないってさ。こっちが本題だった」
「本題をオマケみたいに言うなよ。まあ、聞いてきてくれただけありがたいけどさ」

彼女の言い方に思わず苦笑を漏らしてしまう。だけどいつもこうやってさりげなくサポートしてくれるから、俺としてはとても助かってるしやりやすい。

「あとは?まだなんか伴じいからの伝言とかあるか?」

まだ何か言い忘れてる事が無いか確認し顔をそちらの方に向ければ、ぱちりと俺の方をじっと見ていたみょうじの大きな瞳と視線が交差する。だけど一瞬にして顔を逸らされてしまった。気のせいでなければほんの少し、みょうじの頬が赤く見えたのは俺の気のせいだろうか。

「南!」
「え。な、なんだ?」

いきなり名前を呼ばれてびくりと肩を震わせる。反応すれば俺の方をじっと見つめてくるみょうじ。そんな彼女の形のいい唇がゆっくりと言葉を紡いだ。

「今日、誕生日だよね?おめでとう!」

「特にプレゼントとかは無いんだけど、言葉だけでもね」言いながらにこりと照れくさそうに笑う彼女にギュッと胸を締め付けられる。誕生日だからって期待していたわけじゃないけど、正直言うとみょうじに言われるのが凄く意外だったし、嬉しい。その笑顔だけでも俺にとっては最高のプレゼントなんだけどな。こんなくさい事言えるような奴じゃないけど、今日くらい思うだけは見逃してくれ。

色々な事を胸に思い、にやけそうになる顔に頑張って笑みを浮かべてから「ありがとうな」と零して、ぽんっと彼女の頭をそっと撫でてやった。




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