好きなんです 大好きなんです



+ハイキュー!!・作並浩輔
*部活のマネージャー、恋人。作並視点。


***


先輩を好きになったのはいつだっただろうか。

綺麗な黒髪も、細長い指も、黒くて大きい瞳も、気付いたら先輩の全てに魅了されて、気付いたら目で追っていた。
だけど、その度に目についたのは二口さんと先輩が楽しそうに話している姿。二人の姿を見る度に胸がもやもやしていたのも事実。

先輩に直接「二口さんの事が好きなんですか?」と聞いてみたら「二口は友達だよ。それに私、好きな人いるから」と綺麗な笑みを浮かべて返されたのを覚えている。
まさか先輩の言っていた「好きな人」が僕だったなんて、その時は全く予想すら出来なかった。


「作並、どうしたの?」
「なまえ先輩の事考えてました」
「私の事?」

少し前の事を思い出して頬を緩めていると、訝しげな表情で先輩は僕の事を見て首を傾げる。

目の前にいるのは恋人のみょうじなまえ先輩。
結局、僕自身が告白をして、その僕の告白になまえ先輩は驚きの表情から一瞬で喜びの表情に変えて「私も、作並が好きだよ」と返してくれた。

そんな流れで、お付き合いをさせてもらっている。


付き合った当初は、周りの先輩達からそりゃあ色々言われたりもしたけど(冷やかしとか、茂庭さんは喜んでくれたけど)今となってはそれも落ち着いている。

ちなみに「先輩と二口さん、仲良かったですよね?」と二口さんに訊ねたら、にやりと楽しそうな笑みを浮かべられて「みょうじからは、お前の事相談されてたんだよ」と言われて、嬉しい思いをしたのはつい最近だ。

ちなみに付き合ってみて分かった事は、なまえ先輩は恋愛慣れしていないらしく、恥ずかしがり屋、という事。そんな所だって可愛いと思ってしまう。


質問された事に答えると首を傾げる先輩。そのまま眉間に皺を寄せてから「変な事思われてたらどうしよう」なんて不安げに呟いている。そんな事思うはずないのに。

「変な事なんて思うわけないじゃないですか。僕、先輩の事こんなにも好きなんですから」
「さ、作並って本当に直球で言ってくるよね…!」
「そうですか?」
「うん…聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらい。でも、そういう所、男前だと思う…」
「ありがとうございます。僕は、そう言って素直に褒めてくれる先輩も大好きですよ」

笑って思った事をそのまま口に出すと、照れからか少しずつ頬を赤く染めていく。
しまいには赤くなった顔を手で隠されてしまった。

「あ。先輩、顔隠さないでください」
「やだ。顔、見られたくないっ」
「…先輩、僕は先輩と視線を交わらせたいんです」
「う、」
「お願いです」

先輩が隠している手に触れ顔を寄せて近くで告げれば、そっと手を退かしてくれる。
手を退かした先にあった先輩の顔は先程よりも赤く染まっていて、その姿が余りにも可愛くてつい見つめてしまう。

「さ、作並っ、あんまり見ないで!」
「…なまえ先輩、本当に見られるの苦手ですよね。恥ずかしがりやというか…でも、そんな先輩も魅力的だと思います」
「うっ。…だって、す、好きな人に見つめられたら、恥ずかしい、でしょ。作並に見られるのは嫌じゃないけど、慣れなくって…!」

僕の言葉に真っ赤な顔で目を瞑りながら零す一言。…この人はいちいち言ってくる言葉が可愛すぎる。

我慢できなくて、触れていた手を引き寄せて華奢な身体を自分の胸の中に収める。抱き締めてみて分かるけど、この人本当に細いんだなあ。

僕の行動に動揺するくらいに驚いている先輩は、少しだけ肩をビクリと揺らした。

「さ、さく、なみ」
「すみません。…先輩が余りにも可愛くて我慢出来ませんでした」
「っか、可愛くなんてないからっ!」

「ああもうバカ、」と零しながら僕の胸に頭を預けるなまえ先輩。隠そうとしているであろう赤くなった耳は隠れていないんだけどなあ。先輩の行動や言動がいちいち可愛くてつい頬が緩んでしまう。

「作並は、可愛い顔してるのに行動が男前すぎるよ…」
「男が可愛いなんて言われたって嬉しくないです」
「知ってる。でも、付き合ってからどんどんかっこいいの方が大きくなっていってずるいよ」
「僕としてはいちいちそういう可愛い事言うなまえ先輩の方がずるいです」

ギュッと抱き締めてあげると僕の胸に埋めていた顔を上げて「ホントの事しか言ってないよ」と言って赤くなっている頬のままにかみながら笑う。…ここでそのはにかみ笑顔はずるいです。

先輩の言葉にも笑顔にもきゅんとしながら、「僕も本当の事しか言ってないんですよ」と返してあげれば、赤く染まっている彼女の頬はもっと紅潮する。
「ずるいなあ、作並は」って小さく言葉を漏らす先輩だけど、そっくりそのままお返しですよ。
赤くなっている先輩の頬に手をするりと添えて「先輩大好きです」と改めて愛を告げてから、熱の篭っている頬にチュッとリップ音を立ててキスを落としてあげた。






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