1万hit企画 | ナノ



<リク内容>
+年下・恋人設定・甘々。

*大谷の会社の秘所課の社員。
*大谷視点。


***


あたたかい温もりに、ゆっくりと閉じていた瞳を開けていく。まだ夢見心地でぼんやりとする思考の中、ここが自身のベッドの中だという事を見える範囲で理解する。そんな俺の腕の中には彼女であるなまえが、すやすやと寝息を立てて眠っていた。寒い空気をいれないように、そっと布団を掛け直してから彼女を起こさないようにベッドサイドに置いてあるスマホで時間を確認すれば、時刻は9時半頃を示していた。

「(もうこんな時間、か。…俺もなまえも、休みだからってちょっと寝すぎたかな)」

そう思いながらも、完全オフ、という事が頭の中に入っている状態では中々起きようという気にもなれないし、なまえを起こそうとも思わない。その理由も、ドラマに夢中になってしまって(最初はなまえがハマってるって言っていたやつのシリーズものをレンタルして、それを俺も一緒になって見始めてしまったから)それを夜中まで見てしまったせいか、ベッドに入った時間も夜中の3時頃と遅くなってしまった結果だ。俺としては甘い時間を過ごしたかったんだけど、ドラマを見て楽しそうにはしゃぎながら話すなまえが可愛かったから、今回は彼女の意思を尊重して一緒になってドラマを見た、という訳だ。

「(…まだ、起きそうにない、か)」

いまだに寝入っているなまえの事を見つめながら、その可愛らしい穏やかな寝顔に口元が緩んでしまう。普段はあまり見ることが出来ない無防備な寝顔は、今は化粧をしていないせいか少し幼さを感じさせる。

「(…こういう所や昨日のドラマを見ていた時の様子とかを見ると、年下に見えるんだよね。まあ、性格のせいもあって普段は大人っぽく見えるから、余計にそう感じるんだろうけど)」

頬にかかる髪を耳にそっと掛けてあげながら、なまえの事をじっと見つめてそんな事を考える。落ち着いていて真面目な性格の彼女は、周りからは少し大人っぽく話し掛けづらいと言われているのを聞いた事がある。でもそれは彼女の事を知らない、全く関わってない人達からのイメージなだけであって、実際には目上の人間に対してや他の人に対する彼女の対応は至って普通…もしくは好印象を抱くくらいのものだと思っている。
恋人の俺と二人っきりの時は、甘えるのが下手なせいもあるとは思うけど、不器用ながらに甘えようとしたりする姿は素直に可愛いなと思っているし、あとは俺が彼女の対して伝える言葉の一つ一つに対する反応が面白かったり予想外だなと思う時があるから、そういう意味では彼女から目が離せなくなってしまう。まあ、そんな可愛い姿、俺だけが知っていればいい事でもあるんだけどね。

「(…一人の女の子に対してこんな夢中になるなんて、考えた事も無かったんだけどな)」

それでも、これからも俺の傍にいてほしい、と、なまえに対しては思っている訳で。これを俺が口に出したらまた面白い、可愛い反応をしてくれるんだろうと思うと、先程よりも口元が緩んでしまう。そして、まだ起きる気配の無い彼女を少しだけ抱き寄せてから密着度を高めた。

「…好きだよ、なまえ」

近くなった距離で、なまえの柔らかい唇を優しく指で撫でてから自分の本音を小さく言葉にして零した。そのまま撫でた部分をなぞるように触れるだけのキスを何度か送ってみせる。その感触で気付いたのか、なまえはゆっくりと瞳を開いていき、いまだに眠そうな瞳で緩く瞬きを繰り返すと、俺と視界を交差させた。

「…羽鳥、くん?」
「うん、おはよう。なまえ」
「おはよう、ございます…あれ、今何時…?」
「9時半だよ。二人して、ゆっくりと寝ちゃったみたい」
「9時半…?!わっ、そんなに…」

俺の言葉になまえは驚きの声を上げてから、俺が起きた時と同じようにベッドサイドに置いてあるスマホを手に取り時間を確認した。俺が伝えた時間よりも勿論時刻は進んでいて、その事を確認すると彼女は小さく唸り声を上げて「寝すぎた…」と小さく言葉を漏らして枕に顔を埋めてしまった。

「寝すぎた、ってほどでもないんじゃない?ベッドに入って寝た時間が、そもそも遅かったんだし」
「でも、」

顔を上げて俺の方に改めて身体を向けたなまえは、言い掛けた言葉をそこで止めてしまった。そんな様子の彼女を疑問に思っていると、なまえはそのまま視線を逸らしてから小さく「羽鳥くん。…近い、です」と呟き、寝起きで力の入らない腕で少し距離を取るように俺の身体を押してきた。

「え?そうかな」
「そうだよ…。て、なんでまた抱き寄せるんですかっ」
「うーん、なまえが可愛いから、かな」
「り、理由になってない…」

わざとらしく笑いながら離れた距離を埋めるようにまたなまえの事を抱き寄せて、互いの額と額がくっつくくらいに密着する。そうすれば、照れからなのか徐々に彼女の頬がほんのりと赤く色付いていって、その頬を優しく撫でてあげればその熱が直に伝わってくる。

「は、羽鳥くん…近い、ですって、」
「うん、さっきも聞いた。でも、俺はこうしてたいな、…だめ?」
「だ、めじゃない、けど…」

何かを言い惑うようにして言い掛けた言葉に疑問を感じる。続きの言葉を促すように「…けど?」と疑問符にして言い返してから彼女からの続きの言葉を待った。唇を引き結んで言い惑っていた彼女だったけど、恥ずかしそうに視線を逸らしたなまえは小さく言葉を零していく。

「……羽鳥くんが、格好良いから。顔が近いと、緊張してどうにかなっちゃいそうで…」
「え、」
「それに…いつもは化粧して少しでも羽鳥くんと並べるように頑張ってるけど…今は何もしてないから…あまり近くで見られたくなくてっ…」

言い終えたなまえはその言葉の通り顔を見られたくないようで、今度は俺の胸元に顔を埋めてしまった。彼女から発せられたその一言は予想外で、俺の思考は一旦停止してしまう。
…無理して背伸びなんてしようとしなくても、なまえはなまえだから、良いのに。

「そんなの、気にしなくていいのに」
「え…?」
「俺は…そのままのなまえが好きなんだから。どんななまえでも、好きだよ」
「っ、」

なまえの耳元に触れるくらいの距離でそう囁いてあげれば、今度は耳まで赤く染めていく。これは嘘偽りない、本心なんだよ。その気持ちを持ちながら彼女の小さい手をそっと握り締めてから、なまえを安心させるように色んな場所に優しくキスを置いていけば、繋がれた手が優しく握り返される。

「どんな私でも、って…。羽鳥くん、その言い方…ずる、い」
「俺は、本当の事を言っただけなんだけどな」

俺の言葉に、なまえは俺の胸元から埋めていた顔を上げて少しだけ迷う様子を見せたと思えば、触れるだけのキスを俺の頬に落とした。またしても予想外の行動に驚いていると、頬を赤く染めていたままのなまえが恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうに口元を綻ばせるのが見えて、その様子に心が温かい気持ちで満たされていくのを感じる。

「(…本当、一つ一つ行動が可愛いんだよね)」

可愛いその行動に、高揚してきた気持ちを落ち着かせるように小さく息を吐きだす。そのまま頬を赤くしているなまえの瞳を、しっかりと見据える。

「…ねえ、もう少しだけこのままでも良い?」

今はなまえと離れたくなくて、そんな言葉を口にしていた。その言葉の返事を待つより先に身体を抱き寄せて、先程よりも密着度を高める。突然の事に慌てるなまえだったけど、俺が離さないと分かったのか渋々と大人しくなってもぞもぞと俺の背中に腕を回してくれる。

「……私だって、どんな羽鳥くんも、好き…だよ、」

先程よりも互いの体温であたたかくなっていく布団の中でまどろみを感じる中、視線を逸らさないままか細く零されたなまえからの言葉は、しっかりと俺の元に届いていて。不意打ちのそれに嬉しさを感じながら「なまえだって、ずるいよ。それ」という言葉と共に、もう一度愛おしい彼女にキスを送ってから、俺達は二人して同時に笑い合った。







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