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悪役出撃(2)

 


あーあ。


真冬は無謀にも不良4人に向かっていき、見事に返り討ちにあった。その姿を俺はただ見ていた。

不良を殴りにいった真冬は、不良の蹴り一発でこちらに飛ばされてきた。
次も殴りかかろうと拳を作ってはいるのだが、足の方はがくがく震えていて前には進めない、といった感じだった。

相手の攻撃が一発でも入ってしまえば、少なからず恐怖を覚える。いくら真冬が年の割には喧嘩が強いと言っても、真冬には喧嘩の経験が足らなかった。



「おい…」



真冬の肩を掴んで、顔を覗き込んだ。真冬は目に涙をいっぱい溜めて、歯を食いしばっていた。

あぁ、そうか。真冬はそういうヤツだった。




「……弱すぎ」

「っ、ごめ……でも、勝つよ、勝つから殺さないで!」

「もういい。雑魚は引っ込め」




掴んだ肩を思いきり後ろに投げる。
ドサッ、と受け身に失敗した真冬が地面に落ちる音がした。






「さて、」


「な、なんだよ……」



不良どもは俺がちょっと視線をやっただけでたじろいだ。は、雑魚か。俺が誰かくらいわかっていたら、俺の前で喧嘩なんて楽しいことを始めなかっただろうな。



「俺は、俺以外のヤツが真冬をボコボコにすんのは無性に腹が立つらしい」

「は?」

「つまりアイツの敵討ちだ」



真冬が聞いていたら、「ハ!?鷹臣君何言ってんの熱でもあるの!!?うわ、平熱だ!怖い怖い怖い!!」とか言いそうだなと思い、ニヤリと笑った。

俺の笑顔に何かしらの恐怖を感じたのか、不良達はまた少し下がった。
逃げようとするのはいいが、逃がしはしねぇよ。


「そういう設定だから、お前ら死んでも文句言うなよ」
















(そして瞬滅)
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