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悪役登場(1)

 


ある日、街の中。真冬はたくさんの見知らぬ不良に囲まれていた。


その頃の真冬は鷹臣から喧嘩の特訓という名の命をかけたお遊びに強制参加させられていたので、そこそこ喧嘩は強かった。同年代の男の子や鷹臣君についている雑魚ヤンキーくらいなら片手で勝てるくらいに強かった。それがいけなかった。



「うちの弟をよくもボコボコにしてくれたなぁ?」



と、不良の一人が言ったおかげで、ようやく真冬は自分が絡まれている原因がわかった。
調度昨日、公園の花壇を意味もなくめちゃくちゃにしていた同級生の男の子をボコボコにしてしまっていた。そいつの兄がこの不良ということだった。

でもまさか弟の仇を討つという理由で、年下の女の子に制裁を加えようとしているとまでは信じられなかった。

真冬は珍しいものを見つけたように、自分を囲む不良をじっと見た。全部で5人。喧嘩強そうなのは2人。全員中学生か高校生だ。

まだ幼かった真冬は、流石に全員を倒すことは無理だとすぐに判断した。



「え、と……ごめんなさい」



真冬は潔く深々と頭を下げた。

その一瞬に、風が吹いた。



真冬が髪を押さえて頭を上げると、目の前にいたハズの不良が一人、遥か遠くで倒れていた。





「オイ、何素直に謝ってんだ真冬」





背後からどす黒い声が聞こえた。
真冬が振り向こうとする前に、背後の人物は真冬の頭を掴んで無理矢理振り向かせた。

背後の人物は五条鷹臣だった。



「た、鷹臣くん……!」



どうしてここにいるの!?とかどうして不良を殴ったの!?とかどうしてお怒りなの!?とか色んな疑問が真冬の脳内を駆け巡った。だが真冬が混乱でどの質問も言葉にできずにいると、先に鷹臣が口を開いた。



「謝ったのは喧嘩したくないからか」

「あ…当たり前じゃん!年上5人相手の喧嘩に勝てる訳ないよ!!!」

「今は4人だ。やれ」

「無理だよ!!!!」



真冬と鷹臣は、近くに真冬以上に混乱した不良4人が突っ立っているのにも構わずに喋った。



「やらずに逃げんな。逃げたら俺がお前を潰す」

「は…」



鷹臣のトーンが本気だったので真冬は戦慄した。鷹臣なら本気で自分を潰すだろうと用意に想像できた。

「行け」

鷹臣は真冬の頭の向きを戻し、背中を押して、不良の前に出した。真冬はすでに泣きたくなっていた。ほんとこの人何しにきたのあぁ事態をややこしくしにきたんですね知ってるよ!と真冬は思った。



「あぁ、やるからには勝て」

「はっ…ハイ!!」



そう言うと鷹臣は腕を組み、完全に傍観の体勢に入った。












…後書き
長くなったので後半カットしました。中途半端ですみません。
…追記
続き書きました。
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