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デスマシーン



今日の喧嘩も我等が真冬さん率いる東校の圧勝だった。真冬さんの恐ろしさもそろそろ県内に広まっているころだろうに、まだ真冬さんに喧嘩を売ってくる無謀な奴がいることが俺には不思議だ。




「…腹へった」




喧嘩帰りの集団の先頭で真冬さんが呟いた。




「寒川、何か食べ物持ってない?」

「食べ物……ないですね、ごめんなさ「真冬さん真冬さん」

「…なんですか舞苑先輩」

「俺のポケットにカロリーメイトが」

「マジっすか!!?」

「ありましたけどついさっき大久保が食べました」

「ちょ、大久保!!!」

「え、何?俺、何かしましたか?」



真冬さんはギリギリと歯を食いしばりながら、俺達に教えてくれたメンチの切り方を大久保相手に披露してくれた。



「あ、じゃあコンビニ寄ります?」

「コンビニ………」



寒川からの提案に真冬さんは自分と俺達の制服を見て、溜息をついた。
どうみても不良の俺達が大所帯でコンビニに行けば、俺達が何か悪いことをする訳でもないのに店員は必ず嫌そうな顔をする。しかも喧嘩のせいで服に少しの土と少しの血がついているから、さらに入りにくい。

と、真冬さんが思ったかどうかは知らないが、



「コンビニは駄目だな…」



と、言って大久保に蹴りを入れた。

そこですかさず俺は真冬さんと大久保の間に割って入った。いや、舞苑みたいに蹴られるためではないが。



「真冬さん真冬さん!!」

「何、山下……」

「お腹減ってますか!」

「うん。そう言ってんじゃん!」

「そんなこともあろうかと、ジャーン!」



俺は真冬さんの目の前に、今朝作ってきた弁当を出した。



「…なに、これ」

「俺の手作り弁当です!真冬さん、前の喧嘩のときもお腹減ったって言ってましたよね!だから今回は真冬さんのために作ってきたんです!……真冬さん、食べてくれませんか?」



台本通りの長台詞を言い終わると、真冬さんの表情が緩んだ。

その表情を見て、本能的に「…ヤバい!」と思った。


「………山下っ!」



ガッ、と真冬さんの力強い両腕でホールドされる。



「山下は最高だ!!大好きだ!!」



俺を褒めながら全力で絞め殺そうとする真冬さんは、本当に怖かった。言われたことは嬉しいが、次第に意識が遠くなっていって、俺は笑顔で意識を手放した。









(真冬さん山下ばっかりズルいですよ!絞めるならぜひ俺を!!!)


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