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遊びます。

 



「今日はおままごとであそびます」

「……待て。そこは、遊びましょう、だろ」



家を出て、最初の曲がり角を曲がるといつものように真冬が敷物を広げて座っていた。

その光景にも慣れてしまい、「こんなところでままごとするな!!」とかツッコむこともなくなり、最初から会話を始めてしまう俺は確実にこのガキから悪影響を受けていると思う。



「真冬がお母さんで、鷹臣くんは次男ね」

「なんで次男だ。長男でいいだろ」

「鷹臣くんにはまだはやいよ」



何だかイラッとする言葉を吐いて、真冬はいつものうす汚いうさぎのぬいぐるみ相手に「ねー、パパ?」と同意を求めた。

汚いうさぎのぬいぐるみを抱える真冬の手は絆創膏や包帯でぐっちゃぐちゃになっていた。

あぁ、そういえば。



「………真冬、」

「なぁに?」

「よくやったな」

「え…」

「一人でよくやった。お前は強いな」



ぽん、と頭を叩くと真冬は一瞬ぽかんとして、俯いて、少し震えた。

げ、まさか泣くのか。と思って、手を引くに引けなくなった。





「…………うん!」



次に顔を上げた真冬はこっちがびっくりするくらいの笑顔だった。



「………お前、素質あるな」

「えっ、何の!?」



真冬は褒められた犬のように素直な輝く目で俺を見た。その辺はまだ素質が足りないな。もっと人を疑うことを覚えさせるべきか。

「ねぇ、何の素質?お嫁さん?ケーキ屋さん?」



「不良のトップの素質」



俺はニヤッと笑って、真冬の頭を撫でていた手で、そのまま真冬の頭を鷲づかみにした。




「今日でおままごとは終わりだ。……特訓するぞ!」



真冬の笑顔はそのままで凍り付いていた。






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