番長日記
番長と呼ばれるようになってから一ヶ月くらい経った。
「なぁ寒川」
「なんですか」
「番長ってどういう意味かわかるか」
「それは…つまり真冬さんのことですよ」
「うん、そうだけど、そうじゃなくて。番長ってなに?」
私の質問に寒川は困ってしまったようで唸りながら空を見上げた。
「喧嘩が強い人ってことじゃないですか?」
「喧嘩が強いから、番長…?」
「違う」
突然現れた声の主に振り向くと、
「番長はその強さ、指揮、男気を持ってして俺たちヤンキーの憧れの的であり、全てを締める人だ」
「舞苑先輩…!」
両手をポケットに突っ込んだ舞苑先輩が壁に持たれてやけにクールに登場した。
「なんかそれいい!かっこいいですね!」
「真冬さんぽいですよ!憧れるぅ!」
「やめてよ寒川照れるじゃん!」
「だから真冬さん、いえ番長」
舞苑先輩は真面目な顔をしてすっと拳を差し出した。その手には縄が握られていた。
「これで俺を締めてくだ」
「意味が違いませんか」