かわいい子は嫌いじゃないよ「土方さんも知ってると思いますけど、あの日、僕の攻撃をこの子はかわした」沖田から紡がれる言葉一つ一つに細心の注意を払う。彼の真意が掴めない。私が沖田とやりあったことなど土方も既知のこと。今更言う必要なんてない。なら、何を話そうとしている?今朝話したことを土方に伝えるのだろうか。私が死体を見ても驚くそぶりすらせず淡々としていた、と。私が羅刹を殺したかもしれない、と。しかし、そのことならわざわざ私がいるときに話す必要はないのではないか。一体沖田は何を企んでいる?「まぁ要するに、彼女を隊士にしたらどうですかって話ですよ」「っ…!!」沖田のあまりに突拍子もない発言に息を飲む。土方も予期せぬ彼の言葉に瞳を丸くしていた。「…何を企んでやがる?お前がそんなこと言うからには何か裏があんだろ」訝しげに沖田を見る土方。先程より眉間にシワを寄せる土方に、私だけでなく彼も沖田の発言の意図が読み取れていないことが見てとれた。「別に大したことじゃありませんよ。ただ、ちょっとこの子の化けの皮を剥いでやりたいだけですから」それはそれはにこやかな笑顔で彼は言う。その言葉が私の首を締めることを知りながら。「ただで隊士にしろって訳じゃありませんよ。今から僕とこの子で試合をさせてください。そしたら隊士にせざるを得なくなりますよ」沖田がそう付け足せば考えるように腕を組む土方。一方の沖田は土方を見ることなく私をじっと見つめる。ニコニコとした口元に反比例するような沖田の鋭い瞳。明らかに私へ向けられた殺気。端から彼の狙いは私との試合。それがわかった今、私に拒否権などない。唯一の希望は土方が沖田の提案を拒否することだが、恐らくそれは叶わないだろう。得体の知れない私を図るのに沖田の提案はもってこいなのだから。「…わかった」案の定、渋々という様子だったが、私たちの試合に了承の意を告げる土方。「よろしくね、千鶴ちゃん」先程よりも増した殺気に身が震えた。久々に強者を相手にできることが嬉しくてたまらないと言うように。to be continue...-----------------------沖田さんに斬られたい系女子集まれ!←( 36 / 41 )[ *prev|next# ] ←back -しおりを挟む-