年越しだってさ
連載の子じゃないです。


「ぎゃはははは」

「お前はもっとこう…」

「ん?」

「女らしく笑えねぇのか」

「何を今更」

「だよな」

「ブッハハハハやばいやばい呼吸止まる」

「……」

今日って大晦日だよな。
そんで隣にいるのは愛しの彼女。

ならもっとこう…
一年の思い出を振り返ってみるだとか
来年の事に想いをはせてみるだとか
そういうことはしないのか。

仮にも2人きりで迎える初めての年明けだってのに。

今年のうちに話したいことは割とたくさんあったのに、
それもすべて年末の大型特番に掻き消されてしまった。

まぁ彼女は目に涙を溜めながら爆笑し続けているから
構わないんだが…


いや、構わなくない。
時計を見ろ。長針と短針が既に重なっているじゃないか。

年明けてんじゃん。
カウントダウンすらできなかった。

くそ、テレビめ。
ぶっ壊してやりたいけどそんなことしたら次に俺が物理的にも精神的にもぶっ壊れるから我慢だ。
偉いぞ俺。



「あっ日付け変わってんじゃん

明けましておめでとう、静雄」

「…おう」

「あれ?ご機嫌斜め?
どしたの静雄くん」

テレビに向けられていた彼女の意識が身体ごとこちらに向いたこと
で悪かった機嫌が半分以上回復するとは我ながら単純だ。


「お前がテレビばっか観てるからだろ」

「…あらやだ静雄くんったら
テレビに焼きもち?」

「あぁ、そうかも。」

「(きゅん)もう、素直だなぁ静雄は。

よし!出掛けるよ静雄!」

「はぁ今から?」

「初日の出!見にいこうよ」

「…またいきなり…どっか見えるスポットでもあんのかよ?」

「知らない!

でも外行きゃなんかあるよ!」

「お前らしいな」

「でしょ?ついでに神社でガランガランしてつまみとビール買って来よう」

「つまみ目的じゃねぇか」

「ピーナッツが食べたい気分なの!」




「静雄」

「あ?」

「今年もよろしくね。大好きよ」

「…あぁ」

「ふふっ素っ気ないところも好きよダーリン」

「酔ってんじゃねぇよ」


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