ザッ
「見ーつけた」
「…名前か」
「2年ぶりだってのに反応薄いなあ」
「うるせえよ」
座り込むゾロの膝に頭を乗せて寝転んだ。
「何の真似だ」
「膝枕。にしても寝にくいわね。また筋肉付いた?」
「さあな。
いいからどけ」
「えー、」
「お前が枕になれ」
「はいはい」
「久しぶりだな」
「そうね、」
「髪、延びたな」
「願掛けしてたからね」
「願掛け?」
「今日この日、無事にゾロとこうして寄り添えるように」
「んなことしねぇでも会えるもんは会えるだろ」
「こうでもしなきゃおかしくなりそうだったの」
「おかしく?」
「…ずっと会いたかったんだから」
「…あぁ、俺もだ」
「私、まだちゃんとゾロの恋人?」
「何が言いたい」
「だんだん不安になってきてたの。
こんなに2年が長いと思わなかった」
「珍しく弱気になりやがって」
「うるさいわね、ちょっとはサンジを見習って優しい言葉の一つや二つかけてくれたらどうなの?」
「知るか」
「…馬鹿」
「…名前」
「何よ」
「……綺麗になったな」
膝に乗っている頭はやけに赤く、やけに熱い。
「当たり前でしょう?誰の女だと思ってるのよ」
「…髪、切るのか」
「そうね。願いも叶ったし、こんなに長いと手入れも大変だし鬱陶しくて」
「俺は長い方が好きだがな」
「……そうやって軽々口説くのやめてよ」
「顔赤いぞ」
「あんたもね、」
2年ぶりのキスは空いていた穴を静かに満たす、
普段の彼からは想像できないほど甘いものだった。