「(女の子だああああ!!!!!!)」

黒髪の女の子二人組は、教室に入るなり壁の汚れ具合に顔を歪めた。
そして入り口近くの席に適当に座る。

「私、あの子達と話してくる!」

少し小さめの声で勝呂達に言うと、茜はパタパタと少女達の元に近づいた。

「せわしいやっちゃな」

「女の子言うんはそんなもんですよ坊。
せやけどナジカちゃんて可愛らしなぁ」

うっとり、という効果音が付きそうなほんわりとした表情を浮かべる志摩。

「えらいお綺麗な人ですよね」

同意する子猫丸も、去って行く彼女の後ろ姿を見ている。

「子猫丸も思うやろ!?」

「あー、分かったからはよどっか席座るぞ」

「坊かて満更でもないっちゅう顔してまっせー?」

「ううううっさいわ!」

茜をぼーっと見ていた三人はぞろぞろと奥の席に座った。




そこから2、3メートル離れた席。




「はじめまして」

にこやかな表情で明るい声を発する茜は、本日4人目と5人目のお友達を作ろうとしていた。

声をかけた時、髪を二つに結った少女はキッとこちらを睨んだ。眉毛がえらく可愛らしい。
プライドが高いタイプだな。努力家で自信家、一度気を許した相手には優しいけどそうでない人との対応の差が激しいタイプ。ここは下手に出つつ舐められないように立ち回らなければ。

一方もう1人の短めボブの子は少し緊張している様子はあるが、極一般的な優しい雰囲気を持っている。この子と仲良くなる事は簡単だろう。

一秒もかからないうちに相手の性格、特徴をパチパチとそろばんを操るように計算する。

「はじめまして」

先に話したのはボブちゃん。
続いて眉毛ちゃんもこちらへの警戒心をありありと見せながら どうも、とだけ言った。気丈な態度は弱みを見せないようにしているのか。

「私は椎橋ナジカ。女の子がいてすっごく安心したわ、これからよろしくね」

「私は朴朔子っていうの、こちらこそよろしくね」

「…神木、出雲」

「じゃあー、朔子ちゃんと出雲ちゃん、でいい?」

「ちょっと、いきなり下の名前?」

「出雲ちゃんってば…」

あー、やっぱり言われるか…
少し呆れるような声をだす朔子ちゃん(仮)。

「苗字の方が良い?」

首を傾げて下から表情を伺ってみる。

朔子ちゃん(仮)はともかく、出雲ちゃん(仮)の方は明らかに人に壁を作るタイプだから拒まれることは想定していた。
嫌だと言われれば大人しく苗字呼びに転換するつもりだった。

「私は良いけど…朴は、朴だから」

「なにそれー」

朴朔子ちゃん…朴ちゃんは、あははーと優しく笑う。出雲ちゃんの方は不本意だ、と言う表情は見えるが敵意は感じない。この調子なら案外さっさと打ち解けられそうだ。

「じゃあ朴ちゃんと出雲ちゃん、改めてよろしくね!」

「うん!」

「よろしくナジカさん」

お、名前で呼んでもらえた。


少し口元をにやつかせつつ周りをくるっと見渡すと、知らない間に1人増えていた。
いつのまに。

兎のような人形に向けて何かを話しかけている様子だが、あれは話しかけるべきなんだろうか…。
というか高校生らしくない可愛い感じだ。変な人多いな…。まぁ祓魔師目指す時点で皆普通じゃないか。



するとまた扉が音を立てて開いた。

おっと、本丸のご登場かな?


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