賢いカノジョ 5
やれやれ…と呆れた様子で息をついて、優羽は校門で烏野の面々と話す及川を見ていた。
大方先ほどの練習試合で決定打となる得点を決めた日向と、因縁の後輩である影山にちょっかいをかけているんだろう、とあたりをつけて、優羽はその輪に近づいた。
「こら徹!!足の状態診るから体育館に居なさいって言ったでしょ!」
「げ、優羽…」
「日向さん!」
及川が次の言葉を発する前に、影山が優羽に反応した。
「お疲れ様、飛雄」
「日向さん、あの…あの時…試合の後ああ言ってたのって、あいつが…日向がいたからですか?」
影山の言葉に、近くにいた及川も烏野の面々も何のことか、と首をかしげた。
「さあね?でも、良い方に転んだみたいで良かった。今回は負けちゃったけど、また試合できるの楽しみにしてるね。楽しくバレーしてる飛雄が見れて嬉しかったよ」
「あ、ありがとうございます…」
「翔ちゃんも、皆さんも、今日はご足労いただきありがとうございました。
次は、負けませんから」
優羽が挑戦的な笑みを浮かべて言い放つと、澤村がすこし驚いた後で次も勝ちます、と返した。
「ねえちょっと優羽!?そういうのって主将同士がやるもんじゃないの!?なんで##と向こうの主将がやってんの!?一応優羽マネージャーだよ!?」
「うっさいなーもう、はやく戻らないと一にも怒られるわよ」
「それは嫌!!」
きゃんきゃんと騒ぐ及川を引き連れるようにして体育館に引き返す2人を見ながら、菅原はいやあ、と口を開いた。
「やっぱり凄いな、青城のブレーン」
「だな」
澤村が同意したところで、日向がブレーン?と聞き返した。
「ほら、お前の従兄弟のことだよ。青城のマネージャー、日向優羽」
「北一のときももちろん凄かったっすけど、確実に力は増してると思います」
影山の言葉に、日向は優羽姉ってただのマネージャーじゃねえの?とまた聞いた。
「だから、なんで従兄弟の癖におまえが知らねえんだボケ!!」
「ははは、まあ日向らしいけどな。
あのな日向。青城の日向優羽って言ったら、ゲームメイクセンス、洞察力、情報量全てにおいて異常なまでに長けた、女子高生アナリスト!って言われてるんだよ。一回月バリにも載ったくらい有名だよ」
「ええ!?優羽姉が!?月バリに!!!???」
「加えてあんなに美人なんだもんなあ、影山とか惚れなかったの?中学時代」
「惚れましたよ」
「惚れましたの!?」
即答で暴露した影山に、反射的に日向は仰天して聞き返した。
「っていうか、北一いた奴らはみんな一回は日向さんに惚れてると思いますよ。両脇を岩泉さんと及川さんが固めてガードしてるから、近づける奴は少なかったですけど」
「へえ…なんかすげえな」
苦笑まじりにそう言った菅原に、一同はうんうん、と頷いた。