君の、音
二巻合唱祭からの帰り道、のイメージです。
新入生にして、一躍我等が合唱団のルーキーとなった蒼井由多香を筆頭に、兄に、それから妹、と俺の周りにはフツーじゃない奴で溢れてる。
そしていつだって思ってきた。
俺だって。俺だって。
「こうして大人になるのね」
「田所みたいなことを言うな」
「田所くん?」
「利用してのし上がるだのなんだの」
「私の言う大人とそれでは含む意味が違うわね、分かっているでしょう?」
「ああ、分かってるよ。俺は今日一日で大きく成長した」
「青春の象徴よね。今日部長が見た朝と、明日部長が見る朝は、きっと誰よりも違う。また一つ心を大きくして、私たちはこうやって大人なるのよ」
「そうだな」
「子供は大変ね」
「どういう意味でだ?」
「一人一人に必ずある大人になる為の鍵とか、扉とか…そういうきっかけを、他人から与えられずに自分で見つけなきゃならない。他人に与えられた鍵で見つかる大人なんて空っぽよ」
「町屋も鍵を探しているのか」
「探さなくたって、川に沿って流れているだけでもその辺で見つかるようなものだと思うから、わざわざ探すような真似しないわ」
「…そうだとしても、多分俺は誰より早く見つけたくて、大人になりたくて必死に探すんだろうな」
「それが部長らしさだもの、私は好きよ、まっすぐでがむしゃらな部長」
「す…っ!」
キラキラポエムな青春合唱とか、ツボ過ぎてくたばりそうです。
部長と町屋さんがうにゃうにゃすれば良いと思う。
夢じゃなくてごめんなさい。