ふぉもと藍龍蓮だけは年中無休でお断りしていますあしからず
神様仏様仙人様、イケメンに産んでくれてありがとうございます! 不細工でもイケメンでも自分の顔に不満はないが、そりゃあ顔は良いに越したことはない。イケメンっていいよね!
だが、果たして自分がイケメンで得することがあるかと言われたら、可愛い女の子が寄ってくることくらいしかない。むしろそれが当たり前になってくると自分の顔面に感謝することもなくなってきた。っていうか何で自分の顔面に感謝しなきゃいけないんだ自分のだぞ!
だがしかし、私は自他共に認めるイケメンであるが故に、いらないものまで引き寄せてしまうことも多々ある。それはふぉもだったりオネェだったり痴話喧嘩だったり修羅場だったり多岐に渡る。
その中でも厄介な部類に入るのがふぉもと藍龍蓮である。
藍龍蓮。それはさながらUMAのようなもので、奴の捕獲は私のライフワークと言っても過言ではない。私が忙しい時に限ってふらふらと現れるくせに、捕獲は困難。生態調べたい。っていうかお前私と紅秀麗の前で態度違い過ぎだろ。ナニ紅秀麗の前で奇天烈ぶってんの。本当のお前はもっとニヒルに笑って「人とは本当に面白いな云々」とか言ってるだろ! 何なのアレは私だけにツンデレてんの気色悪い。生憎だがふぉもと藍龍蓮は年中無休でお断わりしているんだ。
「――仙人?」
「何だ喬雲幽、気付いてなかったのか」
気付くとか気付かないとか何ですかそれ。おいしいんですか。角砂糖のように甘いんですか。それとも梅干しのように酸っぱいんですか。言ってる意味がよく分かりません。咀嚼疲れたー。藍龍蓮の話難しいヨ。
藍龍蓮って仙人だったっけ。そんなこと書いてあったような……。もう三十年は経ってるから忘れちゃってるんだぜ。私だって人間だから忘れちゃうことだってあるんだぜ。完全な人間は居ないんだぜ。
「藍龍蓮、何で君は私に素を見せたわけ?」
「好きで見せてるわけじゃない。何故か出てしまうんだ」
「私って凄いな!」
なんか私、自分で自分が人間かどうか疑ってしまうくらい規格外だな。人間の規格を飛び出しすぎだろ。まぁ仙人とか居るし、異能とかあるけど、フツーの人間には関係ないからね。私フツーの人間だと思ってたけど、案外そうでもなかったっぽい。だってフツーの人間は、藍龍蓮から藍仙引きずりだすなんて出来ないぜ? 私どんだけチート。
「私は喬雲幽のこと嫌いだ」
「仙人に嫌われるとかホント半端ねぇな私。なんか不吉な星の元に生まれた気がしてならない」
「実際そうだがな」
「マジでか!」
不吉な星とか軽く冗談だったのに肯定されちゃったら私どうすればいいんですか。っていうか私マジで不吉な星の元に生まれたんだったらヤバくない? 転生の所為のような気もするけど。
出歩くから不吉になるんだよ。やっぱりニート万歳!
「まぁ、不吉というよりはよく騒動に巻き込まれる程度だが」
「すげぇぇええぇ、マジで当たってる! 仙人半端ねぇ!」
っていうか分かってたんだったら教えてくれたっていいじゃまいか。お前紅秀麗や杜影月と私との対応に差がありすぎるぞ。二人だけ贔屓しやがって!
いや、別に藍龍蓮に贔屓されたいとかそういう思いは一切ないです。差別に反対しているだけだ。平等って素晴らしいもぐもぐ。
「喬雲幽、お前は   なのか」
「あ?」
なんつった今。突風吹いて聞こえなかったよこんにゃろ。ワンモアプリーズ! なのかって何、気になるだろ、もう一回言えよ。
「聞こえなかったのならいい。大したことではないからな」
「ええー気になる教えてー」
「バカなのか、と聞いただけだ」
「うぜええええ」
でも知ってるぜ私。本当はバカなのか聞こうとしたわけじゃないってことを。大真面目に、さっきの雰囲気はちょっとシリアスだった。本当にそんなこと聞くなら藍龍蓮ももっとにやにやしながら聞いてくるだろうし。嘘が下手だな、藍龍蓮。
「――『喬雲幽』は幸せな人生を送れないだろう」
「何それ、予言?」
っていうか、私今結構幸せだけど。ちょっぴり物語に関わって、大抵ごろごろだらだらテキトーに仕事して、帰って酒を呷る。そんな生活が大好きさ!
「喬雲幽にとっての幸せとはかけ離れているかも知れないが、およそ人が望むような幸せは手に入れられないだろう」
「そういう意味ね。分かってる。私そういう幸せいらないし」
好きな人と結婚してとか、家庭を持って子供は三人ねとか、正直そんなんどうでもいい。好きな人とかいらないし。たまにリア充爆発しろとか思うけど、それだって何でてめぇみたいな野郎が可愛い女の子を彼女にしてんだよ!という純粋な嫉妬で、恋人が出来ない羨望などではない。
要するに私は独身貴族を貫くわけですよ。因みに私DTは卒業してるぜ。まぁ、相手はちょっと言えないが。私がふぉもをお断わりしている理由を察してくれ。見てによによするのは本当に大好きなんだがな!
「藍龍蓮、私は普通の幸せなんか望んじゃいないのよ。私が望むのはただ一つ、人生を愉快にしてくれるものだけだよ」







嫌悪感に眉を寄せる仙人をみて、同類だなと嗤った。
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藍龍蓮との会話


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bkm
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