テニスがどういうものだったか思い出せないよ。もっとこう、軽井沢とかで美人のお姉さんが短いスカートみたいなのはいてウフフアハハみたいなのだと思ってたんだけど。あ、テニヌですか。
性転換主がもしもテニプリの世界に転生したら。
現代→彩雲国(転生)→……(トリップ)→テニプリ(転生)
でも彩雲国とか知らなくても読める。
ぶっちゃけ現代→テニプリ(転生)だと思ってもらっても構わないが、今までに回った世界で護身術とある程度の脳みそ(護身術と脳みそはあまり使わない)と小説家スキルを手に入れている。
よって性転換主は小説家。ぶっちゃけ私小説というかエッセーのつもりで書いているけど、今までの波瀾万丈の人生の所為で、もはやネタ。ペンネームは喬雲幽とかそこらへん。
そんな性転換主は生まれ変わったら真田の兄でした。しかも13も離れている。真田が物心付く前にとっとと家を出て優雅に一人暮らし。前世のスキルを生かし、株にも手を出していたりいなかったり。
別に真田を愛していない訳じゃないんだよ。偶に会って「大きくなったなぁ」って和むのが好きなだけなんだよ。

何が書きたいのかというと、そんな性転換主がちょっと女装してテニス部に乗り込んで、真田をからかうっていう俺得。
前世女だから、女物に違和感が無い性転換主。なんか仕草とかがね、無意識に出てるっぽい。
言っておく、これは最初から俺得www







私はトリップの多い人生を送ってきましたが、どうやら今回は転生したようです。しかし何でまた男。そんなにヤツ(別に特定の誰かが居るというわけではない)は私を男にしたいのか。
第一の人生は女として平凡に生きた。第二の人生は男として、色々な世界を旅(トリップ)した。第三の人生もどうやら男で、この調子でいくとこれもまたどこか漫画やら小説やらの世界なのだろうけど、生憎心当たりは無い。特に目立つような特徴のある世界ではなく、初めは元の世界に戻ったのかと思ったくらいで、ザ日本って感じだ。
そんな私の名字は真田。真田なんて割と普通な名前だと思っていたのだが、私が13の時に弟が生まれた。両親が名づけた名前は弦一郎。弟の名前は真田弦一郎だった。皆さんお気づきかもしれないが、どうやらファンの間でテニプリとかテニスとか呼ばれるあの世界に来てしまったようだ。
正直あんな人外のスポーツに関わると命がいくつあっても足りないので、適度な距離を保つ事にした。だって兄だから関わらざるを得ない。まあ、弟が物心着く前に家を出て、現在は快適に一人暮らししてます。実家は当然のように神奈川だったので、東京に住んでます。出版社やら古書屋やらが密集している神田の近くに住んでます。何かと便利。私は今までの経験を元にした小説を書いているのだ。プラス株なんかにも手を出しているので、結構儲かっている。
そんな私ももう28。いい年したおっさんだ。で、弟が全国大会に行ったんだか行くんだかでお祝いするというので帰って来いとのお達しがあった。へーへー行けばいいんでしょ。正直もう2年以上家に帰ってないから、そろそろ帰る頃だとは思って居たんだよ。去年も全国大会で優勝したとかで、お祝いするから帰って来いといわれたんだけど、用事があって帰れなかったんだよなぁ。と言うことは、実質的に弟に会うのは入学式以来か。
「久しぶりね」
綺麗に笑ってやんよ! 私は弟に似ず――じゃなかった、弟は私に似ず厳つい顔をしている。私は女だった頃の名残か、割と中性的。弟のは厳ついって言うかもう爺くさいのレベルである。並ぶと私より背が高いし顔は老けてるし、絶対私の方が弟に見られてしまうだろうなぁ。
っていうか、聞いてないんですけど。え、なんでこんなに人多いの。私こんなに親戚いたような記憶はないんだけど。え、弦一郎のお友達? ばっか、そんなん呼ぶなよ! こいつら全員テニス部だろ!
「あれ、真田ってお兄さんが居たんじゃなかったっけ? お姉さんだったの?」
「い、いや。俺は兄だったと記憶しているんだが」
「あら、帰ってたのね! まあ、またそんな格好して! まさかその格好で此処まで来たの?」
「もちろん。やだなぁ母さん、ちょっとしたサプライズだよ。私の服まだ取ってある? 着替えてくるわ」
私は現在着物です。注意、女物です。目の前の戸惑っている弟と恐らく幸村であろう人物に、にっこりと笑ってやると何故か顔を赤くしていた。あー、面白い。
面白そうだからリビングに入って他の奴らにも挨拶してやった。真田にこんなお姉さんが居たなんてという声を華麗に無視して、自己紹介。地声で。ピシリと石の様に固まったオトモダチににっこりと笑ってリビングから出て行く。
自分の部屋に戻って、祖父から貰った着物を引っ張り出す。第二の人生でもっぱら袍やら着物やらを着ていたので、こちらの方がなんとなく落ち着く。流石に褌はやめたけれど、していた時期もあったなぁ。
「で、改めて久しぶりアンドはじめまして」
ちゃちゃっと着物に着替えた後はリビング――もとい居間に戻ってどんよりとしている弦一郎のお友達に笑いかける。
「俺、真田の兄貴ってもっと厳つい男かと思ってたよぃ」
「ブンちゃん、落ち込むな。俺もじゃき」
「ふむ、あの幸村でさえ暫く固まっていたからな。受け入れがたいのも無理はない」
「おいおい、何好き勝手言ってくれちゃってんの。っていうか私にはお前らが中学生だって事の方が受け入れられないよ。中学生の癖に私より背が高いとかどんなフェイント」
「あの、本当に真田のお兄さんなんですか」
やいのやいの言っていると、弦一郎のお友達の中でも殊更儚そうな少年幸村が恐らくこの場に居るお友達全員が気になっているだろうことを言った。もっとオブラートに包もうぜ。
「一応ね。といっても弦一郎が物心着く前に家を出たから、弦一郎にとっては親戚のお兄さんくらいでしかないかもね」
「ち、違います!」
「さ、真田くん、落ち着いて!」
私に掴みかかろうとしてきた弦一郎を逆光眼鏡こと柳生が取り押さえた。え、あの厳つい弦一郎を取り押さえるとか柳生ってどんだけ。
つか、弦一郎も私に掴みかかろうとするなし。お前私より背が高いから威圧感があって怖いんだよ! 思わず涙目になっちゃうだろ!
「あらやだこの子ッたら、早速問題起こして」
「母さんそれ勘違いだから。問題起こしたのは私じゃなくて弦一郎だから」
「しかし真田兄の言葉で弦一郎が暴れたのも事実」
「そうじゃそうじゃ」
「俺も見てたよぃ」
「てめぇらくたばれ」
弦一郎の目の前に居たために弦一郎と一緒に取り押さえられてしまったもじゃもじゃ頭こと切原を助ける。わかめって言うより乾燥わかめだな。しかも気を失っている。まあ、中学生だけど体格はそんじょそこらの大人には負けない男二人にのしかかられちゃなぁ。
何故か涙目になっている弦一郎も立たせ、母さんに真実を言うように催促すると、これまた何故か弦一郎は私に抱きついてきた。何故だ。
「どうした、弦一郎」
「察してあげなさいよ。去年だって弦一郎、あなたが帰ってこないって聞いて物凄く落ち込んでたんだから」
「いやいや、母さん無理言わないでよ」
弦一郎が何も言わないので、しょうがなく背中をさすっていると、糸目こと柳がそういえばと言い出した。
「去年優勝したあと数日間、真田は落ち込んでいたな」
「そうじゃったか?」
「さすが、柳だね。言われてみればそんな真田は珍しいから驚いたのを思い出したよ」
「確かに会うのは入学祝以来だけど、私に会いたいか?」
自分で言うのもどうかと思うけど、本当にだらしない人間だからなぁ。自分で言うのもどうかと思うけど、私だったら会いたいとはおもわないね。自分で言うのはどうかと思うけど。
稼いでるけど、あんまりオススメできるような稼ぎ方じゃないしなぁ。特に株。マジで引きこもりになった。ずっとパソコンの画面とにらめっこしてるだけだから。急速に視力悪くなるから。
「俺は兄さんを尊敬しているんです」
「ええー、信じられん。自分が尊敬されるような人間だとは思えないし、尊敬してるとか聞かされるだけでサブいぼが」
「もしかしてお兄さんの職業は作家か?」
「柳、どうして知ってるんだよぃ」
それは私も知りたい。家族にすら言ってないんですけどー。まあ母さんにはバレたけど、弦一郎には言わないように口止めしておいたのに。
「ある日真田が珍しい種類の本を読んでいたから気になってな。家にあったのを適当に持ってきたそうだが、その作家に対して尊敬していると言っていたからな。もしかしたらと」
「なにそれ、ちょうこわい。柳くんの洞察力こわい。っていうかどうして弦一郎はその作家が私だって知ってんの」
「兄さんが昔よく話してくれた話にそっくりだったからだ」
昔の私死ね。もう、こういうのが嫌だったから黙ってたのに。家族に自分の書いたもの読まれるとかどんな羞恥プレイ。
「私もう本書かない」
「な、何故だ!」
「耳元で喋るな! 声が大きい!」
そして母さん、仲が良いわねぇで済ませないで欲しい。そして柳生、切原の世話をしてやるのは良いが、魘されているぞ。丸井も、人の家の菓子を貪り食うな。あれ、っていうか桑原だっけ? 居なくね?
幸村と柳、仁王が面白がって私の周りで「真田はホモだったの?」とか「ふむ、新しいデータだ」とか「真田はそういう趣味だったなりか」とか言ってンな。しね。




とりあえず全員フルボッコけってーい!
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やってしまった!
なんか本当に性転換主はキャラが掴めない。
書く度に別人で申し訳なくなる。


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