6(学パロ)
「……お姉ちゃん、何してるの?」

「ん? ああ、ケーキでも焼こうかと思ってね」

レシピ本を掲げて見せると、妹は何故か知らないけど私を睨み付けてきた。えええ、私何かしたかなぁ。
いつも思うんだけど、この妹打算的過ぎるだろ。この間洋服が欲しくてうそ泣きしているのを見かけた。さすが商人の子。これは関係ないが、ある時クラスの男子に貰ったとか言って私にお菓子をくれた。貢がせているなぁ……。
しかし妹は恋愛関係に対しては鈍感で、小学生のくせして友達の紅秀麗と政治とか経済とか語ってるし。何なのおまえら、実は変な薬とか飲まされて小学生やってる訳じゃないんだよね、と聞いたことがある。そんな訳ないよと言われたが、どうにも信用できない。
まぁ、お友達の紅秀麗ちゃんは数年前の大不況で相当苦労をしたようだし、うちも企業だったから不況の波は波浪警報が出るんじゃねってくらい直撃しましたが何か。そんなこんなで苦労を分かち合ったんだろう。いいよね、友情。

「私にもちょうだい!」

「うーん、余ったらね」

「誰かにあげるの?」

「うん。先輩と兄さん。この間助けてもらったから、そのお礼」

私にぎゅうぎゅうと抱きついてくる妹を引き剥がしながら、レシピ本をめくる。
ケーキじゃなくてタルトがいいかなぁ。楊先輩って、甘いの苦手そうだし。いや、見た目からの判断だから実際はどうか知らないけど。

「タルト?」

「うん。スポンジがうまく出来るか分からないから」

「お姉ちゃんはお菓子屋さんでバイトしてるから大丈夫だよ!」

ちなみに私は高校に入ってからすぐに和菓子屋さんでバイトを始めた。スポンジケーキとは余り関係ない。ましてや会計なので、作らせて貰えるわけではないし。
この妹、勉強は出来ても馬鹿だね。まぁ馬鹿と鋏は使いようと言うし、有効活用させてもらってはいるけど。

「抹茶タルトにするか」

「お姉ちゃんって相変わらず渋いよね」

「タルトなんだから渋くないよ」

腰巾着もしくは金魚の糞のようにひっついて回る妹を誘導し、テレビへと追いやる。君はそこで特番でも見てれば良いよ。
さて、さっさと作って明日先輩に渡そう。




「兄さん、これ楊先輩に渡して欲しいんだけど」

「無理。やだ」

「もう一切れあげるから」

「貰うけど行かない。俺今日は移動教室ばっかりだから面倒だし、そもそもお前が渡しに行くのが礼儀だろ」

うぐぐ……。
兄さんの言うことが正しすぎた。反論出来ないぜコンチクショウ。
三年の教室とかアウェー過ぎて恥ずかしいわ。心細いんだよ。もういっそのこと蘇芳とか連れていくかな……。

「ほら、支度してこい」

つかアンタも抹茶タルト食ってんじゃないよ。兄さんの分は昨日あげただろ。持っていってくれるならあげるとは言ったけど、誰もただでやるなんて言ってないぜ馬鹿野郎。

「リア充爆発しろ!」

「そんなことより名前、さっさと支度しないと遅刻する」

「あばば、まだ朝ご飯食べてない!」

「行儀悪いけど、食いながら行けばいいだろ」

「それもそうか」

――待て。
それどんなフラグだ。





遅刻×朝食=運命の出会い
―――――――――――――――
フラグだ。ばんばんフラグを立てまくっている。
そして楊修は出てこない。


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bkm
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