惚れ薬

「どうして、どうしてこんなことを……?」

里村紘市は薄く笑った。
だが、眼は笑っていなかった。

「どうしても何も、ただの純粋な愛故だね」

「愛の定義を学びなおした方がいいと思います」

「酷いねぇ」

里村紘市は困ったという表情を作り、肩を竦めた。
肩を竦めたいのは私の方なのだが、生憎手を上で縛られていて出来なかった。

「酷いのはそっちじゃないですか。これって監禁でしょう?」

「やだなぁ、同棲だよ」

「冗談も大概にしてください薄ら禿」

有りったけの恨みをこめて睨むと、里村紘市は何故か恍惚の表情を浮かべた。
どういう性癖の持ち主だか知らないが、正直私にそんな表情を向けるのは止めてほしい。
マゾか、マゾなのか。

「ああ、食べちゃいたいくらいに綺麗な肌だね」

里村紘市はそういうと、私の露出している肌をべろりと舐め、赤い舌をちらつかせながらべろべろと舐めて這った。
べとべとするからやめてほしい。

「君が死んだら僕が解剖してあげるからね、本望だろう」

「生憎長生きする予定なんで」

「じゃあ今から解剖してあげようか?」

「結構です」

里村紘市がにこにこと笑っている。
因みに眼は笑っていない。
コイツは本気だと心のどこかで感じ取ったのだろうか、私の心はブルーな感じだ。

「好きだよ。閉じ込めちゃうくらいには」

「やっぱり監禁なんじゃないですか」

なんかもうどうでもいいや。
そんなことを思ってしまうくらいに、とにかく眠かった。



「やっと薬が効いてきたね」




惚れ薬など要らない
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里村先生がただの変態……


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bkm
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