愛して
不倫?ッぽいので注意











ふと、私の体を這う手を見た。

真っ白い、手。

けれど、それは力仕事をしない彼らしく、とても細かった。いつもペェジしか捲らない、その手が、私の体を這っている。
私の身体が少し、愉悦や独占欲と言ったものによって震えた。

「寒いのかい」

「まさか。そんなことあるわけないじゃない」

貴方のことは大好きなのよ。
愛しているの。

貴方のもとには、引っきりなしに訪れてくる人がいるんですもの。
だからこそ、私は貴方を独り占めできるこの瞬間が、とても好き。

「他の男のことでも、考えているのかね」

「さぁ、どうでしょう?」

罪な女だ、と彼は笑う。
心移りしてほしくないのなら、私を貴方に縛り付けてしまえばいい。

それをしないのは、きっと、貴方の残酷な優しさ故。
罪なのはどっちなのよ、と聞くと、貴方は笑って答えたわ。



「世界じゃないのかね」



と――。

貴方にしては冗談だったのだろうけど、私にしては大きな問題だったの。

罪な私を生み出すのは、罪な世界なのだから。


それを気付かせてくれたのは、貴方なのよ。

だから、最後に言うわ。



愛してる

(そして『さようなら』)
(私の心は、貴方のものよ)
(罪な私にも、罪な世界にも渡さない)
(貴方のものよ)


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