「ねぇ、どーして助けてくれたアルカ」
なんて、考えなくても分かるだろィ。
俺は、好きでもねえ女なんか庇わないし、守らない。
初めて会ったときから好きなんだ。
「…あ、その…。おき、た」
「何でィ」
「あの、ね。ありがとうアル。助けてくれて…」
「あ、……あぁ。それくらいどーってことねえし」
そう言うと、神楽は頬を染めて笑ってくれた。
その染めた頬の意味は、脈ありだと思ってもいいのだろうか。
「すっごく嬉しかったヨ」
確信犯か、それとも無意識か。
多分、後者ではあるのだろうが、素直にうれしいと思った。
「あのさ、神楽がもしよかったら、……また、一緒にどっか行かねえかィ?」
「え?」
「嫌?」
「………いや、じゃない!」
「まじで」
「うん」
「じゃ、今からどっか行くかィ?」
学校サボって、二人で
そう言ってニヤりと黒く笑ってやると、神楽の方も笑って、良いヨ、と答えた。
そして、俺は神楽の手をとって、二人で校舎を飛び出した。
途中、先生に呼びとめられたりしたけれど、すべて無視した。
いや、聞こえなかった。
神楽と二人でいるという事が、頭の中いっぱいに溢れかえっていて、それだけしか考えられなかったから。
神楽の手を強く握ると、神楽が握り返してくれた。
それがものすごくうれしくて、幸せで、このまま二人だけの世界にいけたらいいのに、なんて思ったのは俺だけだろうか。
――守りたい
守ってあげたい――