朝。

目が覚めて、ベッドから起き上がりカーテンを開いた。

晴れでもなければ雨でもない。
所詮、曇りだ。

でも、そんな天気の方が私は好き。

自室から出て、居間へと向かった。

ペタペタと、私の足の裏が床にリズム良く着く音が、誰もいない空間へ消えてゆく。

トーストに、ジャムを塗っていると、携帯が鳴った。今度は電話だ。

サブディスプレイには、『沖田』の小さな2文字が規律よく並んでいる。


「はいはいヨー」


電話を耳に持って行き、私にとってはお決まりの言葉で電話に出る。


『もしもしだろィ』


携帯越しから沖田の声が聞こえる。少し楽しい。


「で、何の用アルカ?」

『あ、今日なんだけどねィ。10時に○○公園に来てくんねェ?』


10時まで残り2時間30分。

まだまだ時間に余裕がある。


「分かったヨ。どこに行くアルカ?」


そう聞くと、沖田は“あ゛――”と言った。考えてなかったのか?


『アンタの行きたいことろ』

「私の?」

『そっ』

「じゃあ…街探索」

『他にチョイスねえわけ?』

「う゛・・・」



分かった分かった。街探索な。

沖田のすこし笑いじみた声が聞こえる。

私まで笑ってしまった。


早く10時にならないかな・・・




――行って来ます。
             お願い誰か返事をして―― 
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