恋とはどんなものかしら?
…あ、
(酢昆布がないアル)
あれだけ買い込んでおいたのに、目の前にあるのは空になった箱ばかり。
食べ過ぎたかな?…なんて思うわけもなく、早々に買いに行く準備を始める。
だって、酢昆布がない生活なんてありえないモン。
適当に服を着替え、身支度をする。あ、総悟は何か買って来て欲しいものとかあるのかな?
急いで準備を整え、総悟がいるリビングに向かった。
「総悟!」
「…ん、何?」
部屋から甘くていいにおいがする。そういえば、総悟がホットケーキを焼いてくれるって言ってたっけ。
「神楽、どうしたんでィ」
「ちょっとコンビニに行ってくるアル!総悟は何か買って来て欲しいものとかあるアルカ?」
「ん〜。…あ、ハチミツ。確かハチミツ切れてたからそれを頼みまさァ」
「わかったアル!」
そう言うと、総悟が笑って頭を撫でてくれた。
なんだか胸の奥がきゅんとなって…顔が真っ赤になっていくのが分かった。
マンションから徒歩数分。
コンビニに着いても鼓動の速さは変わらなかった。
何故、こんなにも速くなるのか疑問を持ちつつ、買い物かごに酢昆布とハチミツを入れた。
…そういえば、今月の女性雑誌でピン子のインタビューがあったはず。気になってコンビニの雑誌コーナーに立ち寄ってみる。
ふと、一つの雑誌に目がいった。
そこには“恋する女の子”という見出しが書いてあった。
「恋…アルか」
正直なところ…恋なんて、分からない。
でも、ほんの一瞬。
ほんの一瞬だけ…ある人の顔が思い浮かんだ。
そして、また。
胸の奥がきゅんとなって…
どんどん熱くなってきて…
どこか苦しくなってきて…
(これが“恋”なのかな?)
かごの中の蜂蜜色が貴方の姿を思い出させた。
恋とはどんなものかしら?
あいさ