積もった雪もすでに跡形もなく消えていた。気づけばもう春になろうとしているのだ。知らない間に過ぎ去った時間は、彼女がこの地球に居なくなると同時に俺の中では止まっていた。…のかもしれない。

「沖田隊長!起きて下さい。鍛練しなきゃ副長に怒られますってば!」

朝っぱらから遠慮なく大声で叫ぶこのザキ。とにかく死ね。

「聞こえてるんですけどォォオ!!もう、沖田隊長。しっかりして下さいよ。チャイナさんが宇宙へ行った時からおかしいって、局長も言ってるんですよ?帰ってくるって、チャイナさんからも手紙が来たじゃないですか」

「…チャイナ不足なんでィ。もう立てねえ。喧嘩しねえーと詰まんねえんだよ。何かィ。テメーが俺のこのストレスを発散させてくれんのかィ?」

布団に潜って絶対に出ないと心に誓った。だって寒いし。

しかし聞いてしまったのだ。俺の誓いはこんなにも脆く崩れ去る。落ちた方が負けってやつだ。きっと・・・。


バサッ


「お、沖田隊長??!」

「うっせえ!これ襖ん中になおしときなァ!戻ってきたときに皺一つでもあったら。……どうなるか分かってんだろうなァ・・・」

「は、はひぃぃぃい!!」





* * * 




「お、総悟。起きたか」

「・・・あれ。近藤さん。さっきチャイナ来やせんでしたかィ?」

「チャイナさん?トシ、チャイナさん帰って来たのか?」

「帰ってきてねーよ。これだ、これ」

土方コンチクショーが親指をカッコつけたように伸ばし、テレビを指差した。ニヤリとした顔で俺を見る。ンだよ。ニヤついてんじゃねーよ、キモいんでさァ。

「聞こえてるんだよクソガキ!!テレビ見ろっつってんだろーが。素直に見ろ」

「クソ方のくせに生意気でィ。何だって?テレビ?そんなのとっくの昔に見てまさ…ァ」


『先日、宇宙中心に活躍している最強の掃除屋、海星坊主さんの一人娘である神楽さんが数少ないエイリアンハンターとして父親である海星坊主さんの後を継ぐという情報を、海星坊主さん自身からお聞きしました。それでは中継です。結野アナ。結野アナーっ?』

『はい!こちら結野です!ただいま、ターミナル内の会議室で会見が開かれています!それでは海星坊主さん、今回の会見、娘さんの神楽さんに後を継がせるとありますが、どうしてまたこのような事を?』

『このような事をって。神楽ちゃんが可愛いからだろ。うちの神楽ちゃんは、誰のお嫁さんにもさせないからね』

『ちょ、パピー!うざいアル。ハゲ!こっち来んなヨ!』


バシンっ!!


「そ…、総悟?どうした?」

「近藤さん」

屯所室内に、低い声が淡々と響き渡る。土方なんか、まだニヤニヤしてやがる。気持悪いったらありゃしねえ。さっさと死ねよコノヤロー。

「今、ターミナルって言ってやしたよね?」

「あ。あぁ。言ってたな。それより、チャイナさん帰ってきてたんだな!俺知らなかったよ!トシはどうしてテレビの事知ってたんだ?」

「ちったァテレビ欄くらい見てくれよ近藤さん。あんたが見れるとこっていったらテレビ欄くらいしかねえだろうが…」

タバコを吹かしながら土方コノヤローはチラリと俺を見た。くそ。見透かしてやがる。気に食わねえ野郎だ。相変わらず。

「ちょいとサボって来やす」

「ほどほどにしろよ」

「分ってらァ。………死ね土方」

「そォォオごォォオオ!!!!」





* * *




まぁ。ターミナルに来てみたは良いんだが…、な。こっからどうすっか…。

勝手にパトカー借りて勝手に土方の財布持ってきたが、会議室というのがどこにあるかがわからない。だいたい、どうして俺がチャイナなんかを迎えに来たようなことをしているのか。

迎え?違えよ。喧嘩しに来たんでィ。あいつ、最後の最後に手ェ抜きやがった。ワザと負けやがったんだ。こっちの気も知らねえで。

「…あれ?沖田。アルか?」

突如聞こえた声に、ビクリと体が震えた。ずっと、聞きたかった声。

「チャイナァァァァァァァア!!!!」

「ぬおっ!!!」

刀を抜き、鞘を投げ捨てた。

叩きつけたはずの刀は、チャイナの番傘によって止められている。さすが。

「ちったァ成長したみたいだなァ」

「おい、知ってるアルか?侍が鞘を捨てるってことは…」

ガキンッ!!!

「命捨てる事と同じアル」

「へッ。ンな事知ってらァ」

同時に刀と傘をお互いの腰に収めた。チャイナはなんていうかこう…。変わった気がする。

髪も長くなったし、脚も長い。一言で言うと、綺麗だった。

「…なんであの時ワザと負けたんでィ」

「へへ。やっぱり根に持ってるアルな!計算通りアル」

「は?」

チャイナ曰く、あの時負けたのは、ワザと負けて自分が宇宙に行けば、絶対に俺はキレて帰って来た時にまた喧嘩が出来るからという、なんと見事な嫌がらせかつ、可愛いものだったのだ。

「やってくれるじゃねえか。クソチャイナ」

「ふん。しょうがないアル。だって、そうでもしないと、お前私と喧嘩してくれないダロ」

「一生相手してやらァ」

「望むところアル」


春は、もうすぐそこだ。





桜サク時

勝ち逃げなんて許さねえよ




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か、書き方を忘れてしもーた!!!

しかも

リクエストに添えてるのか?これは・・・

とにかく、謝らせていただきます。

ごめんなさい。


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