公園や路傍でよく見かけるチャイナ・・・と、その他2名。

いつ見ても可愛いのはっていうか目を引くのは、そこらへんにいるようなチャラチャラした女じゃなくって、酢昆布が好きで、俺なんかに目もくれないチャイナであって。つまり、今、彼女のそばに居るあの万事屋の旦那とあれ・・・。あれ、誰だっけ。ほら、眼鏡したいかにも何も取り柄のなさそうな。そう、新八君だ。

一日の殆どを彼らと過ごすチャイナ。俺と過ごすのは精々一日に1・2時間くらい。

彼らが羨ましいのは言うまでもないであろうが、せめてだ。せめて、クリスマスくらいは俺と一緒に過ごしてくんねーかな、なんて。恋人でも、ましてやそう言った濃い関係でもない俺たちは、クリスマスに2人きりなんて恋人じみた事出来るわけではない。

ヘタレだって笑えよ。コノヤロー。そうさ、俺はヘタレだ。好いた女一人もデートに誘えない。こんな姿土方に見られたら絶対弱み握られておしまいだ。それだけは勘弁してほしい。かといって近藤さんみたいにストーカーをして嫌われでもしたら俺は一生立ち直れない。

それならばどうしたらいいか。手紙でも送るか?いや、古風すぎる。じゃあ電話?無理無理。だって普通に会話出来ねえのに電話なんて俺にはレベルがハイすぎる。それじゃあどうするか。旦那に頼むか?それとも眼鏡?(本名忘れた)

悩みに悩んだ俺はいつの間にかいつもチャイナと喧嘩をする公園に来ていた。チャイナの姿は、まだない。安心すればいいのか、悲しめばいいのか。そうだ。チャイナが来るまでにどう誘えばいいか考えて居ればいいのか。

オレ天才じゃね?

「・・・つか、結局直接言わなきゃなんねぇーのかよ・・」

なんと言えばよいのやら。頭の中に浮かんでくるのはいかにも上から目線のような言葉ばかりがズラリと並んでいる。こんなんじゃ絶対喧嘩になる。うん、必ず。

「あれ。神楽ちゃんといつも喧嘩してるにーちゃんじゃん」

目の前に現れたのは期待していた彼女ではなく、彼女の遊び仲間だった。俺だってまだ名前で呼んだ事ないのになに親しげに呼んでんだ。

「神楽ちゃんならまだだよ。でも、喧嘩しちゃいけないって母さんに言われたからにーちゃん達もほどほどにしてよな!それに、にーちゃん神楽ちゃんの事好きなんだろ?だったらな尚更駄目だよ。好きな子は苛めちゃいけないって」

「そ、それも、母さんに聞いたのかィ?あと、俺がチャイナの事・・・」

「うん母さんに聞いたよ。でも、にーちゃんが神楽ちゃんの事好きなのは皆知ってるよ」

「マジで」

子供というのは恐ろしい。得た知識はすぐに活用するものだ。もしかしたら、俺のチャイナに対する感情もチャイナに言っているかもしれない。なんと言う羞恥。なんと言う屈辱。

「大丈夫。神楽ちゃんには何にも言ってないし、気づいてないとしたら神楽ちゃんくらいだよ。それよりあ、にーちゃんはクリスマスどうするの?神楽ちゃんと一緒に遊びに行くの?それともお仕事?」

「・・・いや、ココだけの話でィ。誰にも言うんじゃねーよ?」

「分かった。男同士の話だね!!」

初めての男同士の話とやらにウキウキしているガキ。でも、こんなんでも誰かに話せば楽になるというのは本当らしい。いつの間にかベラベラ話している俺に、俺自身が驚いた。それに、ガキとつるむのもなかなか楽しいものだったのだと思わされた。

「誘い方が分んないんだったら元も子もないよ、にーちゃん。僕が神楽ちゃんに言ってあげようか?」

「いや、こういうのは自分から言った方がいいんじゃねーのかなって思って誰にも言ってねーんでさァ。ヘタレだって、好きな女に思われたくねーし。テメーだって一緒だろィ?好きな女にカッコ悪いとこ見せたかねーだろーが」

「まぁそうだけどね。・・・でもにーちゃん。たぶんもう遅いと思うよ?」

「どうしてでィ」

うしろうしろ。

そう言うように、ジェスチャーを使って指を俺のすわってるベンチの後ろ。つまり俺の後方へと挿す。若干、嫌な予感がするのは俺だけなのか?いや、違う。目の前のガキも、多分後ろの人物も、聞いてはいけない。いや、嫌なタイミングで来てしまった。そう思っているに違いない。

どうしよう。俺今、穴があったら入りてぇ。

「・・・私何にも聞いてないから安心するヨロシ」

「え?」

「神楽ちゃん?」

振り向くとそこにはやはり俺の待ち人。少々タイミングは悪かったのだが。でも、何処か様子がおかしいと思うのはたぶん俺もガキも思った事だと思う。なんだか、ひどく勘違いをされているようなそんな感じ。危機?なのか、これは。

「やっぱりそうだったアルカ。なんだか最近そわそわして、喧嘩に集中してないとは思ってはいたけど…ふーん。サドも一丁前に恋する男だったアルかァ。相手はどんな相手アル?雌豚?あ、まさかさっちゃん?」

よくもまぁベラベラと勝手に解釈してくれる。もう、この際だ。言ってやる。腹を括れ!沖田総悟!

「アホか。あほチャイナ。俺が好きなのは雌豚なんかじゃなくって――・・・」

とうとう言えるんだ。彼女に、自分の思いのたけを・・・。フラれたっていいじゃないか。一回フラれただけで俺が折れるものか。俺を誰だと思ってやがる。泣く子も黙る真選組一番隊隊長沖田総悟だぜ?

最後の一言を言おうとした時だった。俺って神様に嫌われてんのかィ?

「神楽ちゃんだよ?このにーちゃんが好きなの。そんで、クリスマスに一緒にデートしたいんだって」

「は?」

俺達2人(俺とチャイナ)絶対目が点になってる。だって腹括って言おうとしたんだぜィ?脱、ヘタレ。こんにちは、新生俺。って感じだったのに・・・。それなのに・・・。

「こんのクソガキ―!!ふざけんじゃねーよ。いま、俺が言おうとしてたじゃねーかィ!」

「だってにーちゃんが言えそうになかったから・・・」

「・・・はぁ」

落胆したくなる。結局カッコ悪いとこ見せちまったし。ほんと、ヘタレ。

「いいアルよ」

「へ?」

「だから、一緒にクリスマスデートしてあげても」

「マジで?」

「お前のおごりアル」

「・・・も、もちろん!!」

でも、やっぱガキにも感謝してやってもいいかも。ほんと、一ミクロンくらいだけどな。



「ヘタレそーご」

「うっせ」





don't look me
(だって今ぜってー顔赤い)





____________

れいた様へ捧げます。

ヘタレっていうか、なんていうか、

阿呆な総悟さんになってしまいました・・。

すみません(泣)


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