「綺麗。」
「そうですかィ？」
えぇ…とても綺麗。
だから、もっと私に付き合ってちょうだい？
「綺麗だなァ。」
「本当に。」
「あんたが綺麗でさァ。」
「当たり前の事よ？そんなの。」
ははっ、そう笑う男は、自分が遊ばれているとは考えないのだろうか？
私と彼のこの関係は、決して良いとは言えない。
むしろ、『最悪』なんではないだろうか。
「俺、本当にあんたは綺麗だと思いまさァ。」
「それは嬉しいわ。総悟。」
「だから、本当のあんたを見せてほしいものだねィ。」
「それが狙い？」
「俺の、本心でさァ。」
……そう。
でも、ごめんなさいね。私はあなたが好きじゃないの。
これも運命だったのよ。
私がこんな仕事をしていなかったら、私たちは出会えなかったのよ？
「俺、あんたが好きでさァ。」
それを境に何度も角度を変えて行われる口づけ。
罪悪感なんてない。
こうやって、口付けするのは嫌いじゃないもの。
「神楽。」
私は総悟の事は好きじゃない。
「神楽。」
だからこうして
「神楽。」
だからこうして……。
「総悟…。」
甘い甘い先にあるのは汚い心
(好き、)
(大好き、)
(だから、嫌い。)