シンドローム
甘えん坊神楽
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付き合っているからといって特別なことをするわけでもなく、俺たちは俺たちのペースで進んできた。俺はチャイナに合わせてやりたいと思っているし、チャイナが望まなければそういうワンステップ上がった行為はしない。…と信じていたいと思う。
ちなみに俺はいつでもどこでもドンと来いだ。
去年の今頃は、良く旦那達と一緒に飲んでいた。しかし、今年はチャイナと二人(屯所で)。しかも酒が入っているときた(酒の事は皆には内緒)。だってバレたら面倒くさいし。
「チャイナ、飲み過ぎんなよ」
「分かってるアルぅ〜。にゃはは、サド顔真っ赤ヨ〜」
飲み過ぎてる。完全に酔っている。顔が真っ赤で焦点も合っているのか分からない。
「飲み過ぎんなって言ったばっかりだろうが…」
スリスリと寄ってくるチャイナ。酒の匂いに包まれながらも、元のチャイナの香りと混ざってさらにアルコールが効いている気がする。これは重症だ。
「こんばんはー!隊長居ますかー?」
そう言えば山崎が用があるとかで部屋に来るって言ってたな。
「おう、何か用かよザキ」
「そのザキって止めてくださ…って、くさっ!この部屋酒の臭いしますよ!!」
「だってほら、こいつ酒飲んでるし」
ベロベロになって、もう誰も分からないのでは?という程チャイナは酔っぱらっていた。密着率もアップしているのは気のせいではないだろう。
「ちょ、副長にバレたら不味いんじゃあ…」
「テメーが土方に言わなきゃ済む話でィ。言ったら殺す」
「…分かりましたから殺気飛ばすのやめてください!!…それにしてもチャイナさん大丈夫ですか?」
そう言いながら山崎はチャイナの額を触ろううとする。瞬間。
パシッ!
手をチャイナに払われた山崎は放心状態。俺も放心状態。唯一自分の意思で行動できたのはチャイナだけだった。何故に…?
「やー!サド以外私に触っちゃやーヨ」
ギューっとチャイナは俺の首にしがみ付いてくる。もちろん力加減ができないのか全力で。ちょ、ヤバい首絞まる……。
普段見られない『デレ』に、幸福感は感じるもののさすがに全力で首を絞められるのは痛い。
「ちょ、ザキ死ぬ!チャイナ少し離れろ」
「や!総悟がいいアル!離れたくないアル!」
「だそうです…」
名前呼ばれた!デレ最高。このまま死ぬんだったら別に構わないかもしれない。けどやっぱり苦しい。名残惜しいが、無理やりにチャイナから離れた。離れたと言っても俺の膝の上にチャイナはまだいる。
額にキスを一つ落としてみた。
ムスッと膨れていた神楽の頬は、酒も手伝ってか凄く赤い。真っ赤になっている。次第に頬の膨らみは消えていきヘロンと、情けない、でもエロい表情になった。これはなんか、とても…。
「イイ!」
「隊長!!」
「なんでィ」
「俺用事あって来たんですけど…」
「やっぱり今日は駄目。また明日出直しな。俺は今からチャイナと愛を確かめ合うんでさァ。邪魔されたくねえからさっさと消えな」
シッシと言いながら山崎を追い出す。ブツブツまるで土方のように小言を言いながら山崎は部屋を出て行った。
さて…、と。
「チャイナ?」
「チャイナじゃないアル。か・ぐ・らって呼んでヨ。私はちゃんと総悟って呼んでるのに」
ふえっ。と、今度は泣きそうな震えた声でか、かかかか神楽はぐずった。段々と舌足らずな、呂律がまるで回っていない言葉になっていく。デレるのは嬉しいし、俺以外嫌だという神楽も凄く素敵だ。
神楽しか考えられない。
「総悟は、私のものアリュ。だ〜れにもわたさにゃいもん」
「にゃいって……!」
萌え!萌えとはこんなにも良いものだったのか。最初から知っていたらトッシーの時の土方にも、少しは賛同できたかもしれない。もちろん、神楽限定で。
「私は、総悟のもの?」
首をかしげる神楽。こいつは俺をどうしたいのだろうか。誘っているのだろうか。
「俺は神楽のもの。ずっと、神楽のものでィ」
今度は俺から神楽を抱きしめた。ギュッと力強く抱きしめると、神楽は小さく声をあげて抱きしめ返してくる。愛しくてたまらない。神楽は俺のものなんだ。そして俺は神楽のもの。
そう考えると自然と緩む頬を抑えきれなくなった。全部神楽のせい。
「だーい好きアリュ」
ちゅーっと、キスを迫る神楽。目をつむる神楽の瞼にまず一つ。今度は鼻に一つ。頬に一つ、額に一つ。最後に唇に長く長く口づけた。とろけるように熱い神楽の唇は、アルコールの香りがしてまるで媚薬だ。
「総悟が好きすぎて、どうしたりゃいいアリュか?もう、……離れ…たく、いアリュ」
トロンと神楽の瞼が墜ちてくる。
「もう寝な。明日どっか二人で遊びに行こう、な?」
「うん。おやしゅみなさい…」
スーッと数分もしないうちに寝息が聞こえてきた。寒くなってはいけないからと、隊服に神楽と自身を包みこみ密着する。
神楽の知らない一面を見れてなんだか得をした。神楽は酔うと、俺以外には甘えない。だったら旦那はどうなるんだろう。もしもこの場に旦那がいたら、その時は旦那に行ってしまうのだろうか。
眠る神楽の表情を見る。穏やかだ。誰にも渡したくない。きっと神楽は、俺を選んでくれる。何故かは分からないが、確信的にそう思えた。
「おやすみ、神楽」
本日何度目かのキスをした。
やっぱりアルコールと神楽の香りが混ざった匂いは、媚薬のようで。
「俺だけの神楽」
この媚薬は俺だけのものだ。
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沖田にだけ甘える神楽というリクでした!
内容にしっかりと添えられているでしょうか??
もしも書きなおしをしてほしいなどあれば、気軽に申し出くださませ!
とても楽しいリクをありがとうございました!