素敵憂鬱日和
学パロ
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「憂鬱アル」

「チャイナでも憂鬱になるときがあるんだな」

朝の通勤ラッシュは本当に最悪。私は背が小さい方ですぐに周りが見えなくなる。知らない人にギューギューと押しつぶされて内臓が飛び出しそうだ。それに、誰かが降りるときは一緒に流されてしまいそうになる。

「うるさい!サドはいいアル。私より身長高いし、吊革だって握れるもん」

「チャイナだっせー。吊革も握れないなんて、もういっそのこと歩いて登校すればいいんじゃねえの?」

ニヤニヤと笑うサドは本当にサドだ。私と同じ駅から乗って、家もそんなに離れてないから学校までの道のりなんて分かるくせに!!

「嫌アル!早起きしなくちゃいけないネ!」

「ふん。まぁ、チャイナがいなかったら俺も朝からつまんねえし、チャイナがいた方がいいからねィ。弄る相手がいて」

「それ全然褒めてないアル。むしろ不快アル!」

「今日も一段と不細工だなチャイナ。安心しろ、そんなお前でも押し流されちゃ可哀そうだから、特別に許してやるぜ」

「何を?」

「俺にギューっとしがみつくこと。ついでにその貧相な胸?あ、まな板か。そいつも電車内の空間節約のためにおしつけときな」

「最悪アル!それに、まな板じゃないアル!これでもCはあるヨ!」

「いーや、せめてあってもBだな。この前電車で触った時たしかそのくらいだった!」

「お前!やっぱりあれはお前アルか!誰かに触られたもん!」

「痴漢じゃねえからいいだろィ」

「痴漢アル!」

「あ、電車きた」

ムスッと頬を膨らませる。サドなんて大っ嫌いだ!

電車が止まり扉が開く。降りる人たちなんてほとんど居らず、乗り込む人間が多いため電車内はパンク状態だ。私たちが乗り込んだ車内には、他校の男子生徒達が結構いたため雰囲気も好きではない。

数区間の間気にはとめていなかったが、いつの間にか私はいつもの如く周りが見えなくなっていた。周りの男子高校生の身長が高すぎて!!

一緒に乗り込んだはずのサドも居ない。不本意だが、大人しくサドの腕にしがみ付いておけばよかった!こんなギューギューになるなんて、私本当に最悪!

そんな私をつゆ知らず、というか知るわけがないのだが、その他校の男子高校生はしつこいくらいに私に体をくっつけてくる。こいつら早く降りてほしい!せっかく兄ちゃんがアイロンをかけてくれた制服が台無し!!

それに、満員なのをいいことに体を押し付けてくるこの男。満員じゃなかったら急所を蹴りあげたいくらいだ。なんだかさっきから同級生と思われる男子生徒とコソコソなにか話している。

自意識過剰ではない、断じてないが言い切れる。こいつら私のこと話してる!

「や、お前それはヤベーだろ」

「だってさ、めちゃくちゃ体あたってるし…!」

女に飢えた男ほど醜いものはない。こんな奴らに触られるくらいなら、サドの方がまだまだマシだ!

キュッと唇をかみしめた時、手を急に引かれた!

しかし、ヤラれると思ったらその手の感触は良く知った奴のもので、酷く安心してしまったのだ。

「俺に掴まっとけって言っただろーが。バカグラ」

ひゅっと息が止まった。すかしてカッコいいことしてんじゃねーヨ、サドのくせに。馬鹿総悟。

サドはギュウギュウな車内の中を、上手く人をかき分けて私をサドの傍へ連れてきた。さっきの男子生徒たちは落胆したような溜息をついている。

「この俺が、特別に許可してやったんでィ。大人しく俺に掴まっとけよ」

そう言いながら、ドア付近の手すりに小さな空間を作ってくれた。本当は知ってるよ、そういう優しいところがあるって。でも知らないふりをしなくちゃ、次はないかもしれないもん。

ありがとうなんて、意地っ張りな私は言えない。

「……お前が神楽様をしっかり掴んどけヨ」

「そうする。今度はしっかり、電車乗る前から掴んどいてやらァ。むしろ朝も迎えに行ってやろうか」

ニヤッとするサド。

「……お前がしたようにすればいいアル」

「素直じゃねえの。………チャイナ、もうちょっとこっちに来い」

「え、むお!」

せっかく作ってもらった空間が無くなった。人が乗ってきたせいというのもあるけど、これはあまりにも…近いような…。

「香水の臭いする。チャイナのじゃない臭い」

「あ、さっきの他校生のかもしれないアル」

あ、さっきよりギューってなった。サドが近い。む、胸板にほっぺたがくっ付いちゃってる!

サドの心臓の音が直に聞こえる。ドキドキしているのは私だけじゃない、サドも私と同じくらいドキドキしてる。

「……良い匂いアル」

不意に出てきた言葉に、自分自身でも体が熱くなる。どうかサドには聞こえていませんように!!

「もうすぐつくから我慢しな。今日はいつもより早いし、一つ手前の駅で降りようぜィ」

「あ、うん。そうするアル」

ドキドキして上手く話せない。言葉が出てこないって、こういう事…か。

やっとのことで電車を降りた私たち。サドに手を引かれてまるで恋人みたいだ。こ、恋人なんて別になりたいわけじゃないけどネ!サドが手をつないでくれるから、仕方なくだから!!

「チャイナ手熱いぜ。もしかして緊張してんの?」

顔は前を向いたまま、サドの背中だけが見える。その状態でサドが話すものだからサドの表情がまるで分からない。

「お、お前だって電車の中で心臓バクバクいってたアル!」

「あ、あれはあまりにも人が多すぎて酸素が足りなかったんでィ!」

「嘘アル!」

「お前だって、俺にギュってされて嬉しかったくせに」

「う、嬉しくなんかないもんネ!」

「良い匂いって言ってたの、聞こえてないとでも思ったかィ?俺の耳はチャイナ限定で良いからすぐ分からァ」

いつの間にかお友達繋ぎから恋人繋ぎに変わっていた。少しだけ耳が赤くなったサドに、小さく笑う。もちろん気付かれないように。

「何笑ってんだよチャイナ!」

「気付かれないように笑ったのに!」

「言ったろィ、チャイナ限定で耳が良いんだよ!」

明日もまた、一緒に手をつないで電車に乗れたら今度こそギューっとしがみついてやろう。その時のサドの心臓の音が心地いいことは、私だけの秘密だ。

「ばーか!」

満員電車も悪くはないかも……なんて思ってないけどネ!!!







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りりは様!
こんな感じでよろしいですか?
『満員電車で小柄な神楽ちゃんが、他校男子生徒たちに押しつぶされているのにイラッときて自分の方へ引き寄せて混雑から守るヤキモチ総悟』
という素敵リクに添えているのか…。すみません!
満員電車というものをあまり体験したことがない、ド田舎暮らしの私の勝手なイメージです(-_-;)
書きなおしてほしいなどがあれば、ご報告ください!
リクエストありがとうございました!


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