専門外!
学パロ、タラシ沖田不良神楽
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この世の女はみんなメス豚でアホで馬鹿でメス豚な奴らばかりだと思っている。姉さん以外は。
しかしそれは高校に入ってから激変した。姉さんだけじゃなくなった。もう一人増えてしまったのだ。
「出席をとるぞ」
担任の一声でクラス中はシーンと静まり返る。俺たちの担任は学校内で結構怖いことで有名だ。怒らせると面倒くさいし、そう言うところは俺もしっかりしている方だと思う。
そんな中でも特に意識せずに、何度も遅刻をし好き勝手に帰ったりする奴がこのクラスには存在する。
「あ、また遅れた」
神楽だ。
初めてあったのは高校入学式。奇抜な髪色はやはり周囲の目を引くものだ。俺もその中の一人となり神楽をずっと見ていた。一目惚れ…だったのかもしれない。
入学式が終わり初めてのホームルームと言う時、『私帰るアル』そう奇妙な語尾を残してさっさと帰って行った。なんなんだアイツは、と思う俺の心情は周囲も同じだったようで、ホームルームが終わるとすぐに神楽の話で持ちきりだった。
ある女は神楽の容姿の悪口を言い、ある女は根も葉もない噂話をする。
男どもは可愛いだの美人だの。まぁ確かに顔はこの学校でも美人ではある。それに銀魂高校といえば公立高校の中でも偏差値は高い方だ。神楽も頭はいい方なのだろう。
どんな女なんだろう、といつの間にか神楽の事で頭の中はいっぱいだった。
「あ、あのぉ…」
俺が神楽のことを考えている最中に、ケバい女が話しかけてきた。良くある香水臭い女とまでは行かないが、独特のにおいだ。香水の臭いは嫌いではないけれど好きでもない。
「なに」
「沖田君だよね?」
「そうだけど」
「メアド交換してほしいな…なんて駄目かな〜?」
猫なで声。俺が一番嫌いなタイプだ。けれど、追い返すのも後々面倒だから一応交換する。その後毎日のようにメールがくることになるのだが…。
そんなこんなで入学式は終了した。
入学してから数週間がたったある日、神楽は授業を受けずに屋上でのんびりと過ごしていた。
「あれ?君一年?可愛いじゃん、一人?」
一々質問が多い男子学生。上級生…だろうか、ネクタイの色が自身のものとは違っていた。
「そうですけど、何か用ですカ?」
できるだけ言葉少なく話す。こんな奴と話すと面倒くさいのだ。私は顔は兄貴に似て結構いい方だと自覚しているから。
「一年生なのに悪い子だね、こんな風にさぼっちゃったりして。担任はだれ?」
「知らないです。もういいですか、中学のころからこんなだったから。構わないでください。つーかどっか行ってほしいアル目ざわり」
「な!……調子乗ってんじゃねーよ」
顔も不細工な、ただカッコつけたような男が私に向かって殴りかかろうとしている。こんなの本当は骨をボロボロに折ってしまいたいくらいだが、学校問題になるのは御免だ。5分の3殺しで我慢する。
数分後には何事もなかったかのように私は屋上にいた。不細工男はドアの向こうで怯えている。
その時、ふと視線を感じて不細工男の方を見た。誰か男が立っている。不細工男の隣に。
「……お前も何か用アルか」
ハッとした男が、今度はニヤリと笑ってこいらへ向かってきた。誰だっけ、確か同じクラスのやつである。嫌なやつだ、私はああいう作り笑いをする男がこの世で一番嫌い。
「俺、あんたと同じクラスの沖田総悟。先生からあんたを呼ぶように頼まれたんでさァ」
「だったら伝えてほしいアル。私人が多いところ苦手だから絶対教室にはいかねーヨって!」
これでこの沖田なんとかが帰ってくれたら私は、屋上で素晴らしいおひるが過ごせたというのに…!!
「俺も本当は面倒くさいんでさァ。それなのにあんたは自分勝手で女王様気取りかィ?アホらし。そんな女がどんなメス豚より嫌いなんだよな」
こいつ。
「はぁ?お前顔はいいからって調子のんなヨ、腐れ外道が!お前知ってるアル、私の親友が言ってたヨ。お前は顔はいいから女たぶらかして抱いて捨てるって。そっちの方がよっぽど厭らしいネ。そんな奴に私のこと言われたくないアル」
「俺がどんな女たぶらかして抱いて捨てようが、あんたには関係ねえだろ。腐るほど女はいるんだし、向こうから寄ってくるんだから構わねえよ」
「サイテーだナ、お前!」
「登校初日からサボって、屋上で上級生ボコボコに殴ってそこらへんに放置してる女に言われたくねえよ!」
気分悪い。それに、私にはこんな男に構っている暇はないのだ。
「……もういいアル。帰る、そこ退けヨ」
一瞬鼻で笑った沖田にフツフツと怒りがこみ上げたが、ぐっと抑えた。最悪だ、こんな高校入らなければよかった!
帰宅してからは自宅でのんびりとテレビを見ていたが、急に街へ遊びに行きたくなりいつもつるんでいる友人と出かけた。
「マジで最悪アル」
今日起こったことを友人に全て話す。友人は笑いながら聞いていた。笑えないのに!
「でもまあいいんじゃない?あ、よく少女漫画であるじゃん。それが恋に発展していく…って!」
「キモいアル!ないない!!」
公園にて、コンビニで買ったアルコール入りの缶ジュースを飲む。体がホカホカするのを感じた。いい気分だ。
これなら忘れられそうだった。なのに、奴はまるで私に嫌がらせのように現れるのだ。それも修羅場な時に。
入学式でメアドを交換した女が付き合えと面倒くさい。毎日同じ内容のメール。一度抱けばそれで納まるだろうと踏んでいたがそうでもないらしい。女は面倒な生き物だ。
付き合ってもいなのに、家まで送れと言いやがった。とんだ迷惑ものだ。
「…総悟君、私総悟君のことが好きなの!付き合ってくれないかな?」
最初こそ面白半分だったが、今俺の中を支配しているのは神楽だけだ。あの屋上でのやり取りで確信した。神楽は面白い。
もう夜も遅い真っ暗な公園では街灯がぽつんとあるだけだった。その下には誰かがいるようにも見える。俺たち以外にもこの公園には誰かがいるという事に、さらに嫌気がさした。
「ねえ総悟君…」
「うっさい黙れ不細工女。俺が好きな女しか抱けない男だとでも思ったのかィ?お前最近香水の臭いしキツイし最悪。消えな」
そう言うと女は体をビクつかせた。こういう生き物なのだ、女と言うのは。俺がとげのある言葉を言えば大抵は泣きながら去っていく。この女もそうだった。
去っていく後ろ姿を冷めた視線で送る。
トントン。
誰かに肩を叩かれた。瞬間、勢いよく背負い投げされた。……背負い投げ?
「ってーな!」
「ふん、最悪な男に神様が天誅を下したアル。ざまーみろ!!!」
「神楽?」
「お前に神楽なんて呼ばれたくねえヨ!ていうかやっぱり最悪だったんだナ。私が思ってた以上アル!」
なぜ神楽がここに居るんだ。それに、顔が妙に赤いような気がする。暗くて良くは見えないが。…酒の匂い?
「お前、未成年だろうが。酒飲んでんじゃねえよ」
「青少年に有るまじき行為を、シコシコ何度もしてる奴に言われたくねえヨ」
「見てたのか」
「見てたっていうより聞いてたアル。あの街灯の下で」
屋上での時よりも、なぜだか今の方が胸が痛いような気がする。生で見られたっていう以前に、神楽に見られたという事が痛い。
「もう一人居たじゃねえか」
「もう帰ったし、お前にはそんなこと関係ないアル」
「関係ある。俺はこの公園に居たんだからな。それに神楽にも興味があるし」
「キモいアル。お前なんかに興味持たれても嬉しくないネ。こんな女ったらし無理」
「………真顔で言わなくてもいいだろィ。俺は入学式の頃から見てたってーのに」
「お前に抱かれるくらいなら、もうずっと一人身が良いアル」
いつの間にか普通に話していた。こんな風に話したのは初めてだ。屋上では険悪ムードが漂っていてとてもこんな話をしていられるような雰囲気ではなかった。
ただ今は屋上よりは険悪な雰囲気ではないだけで、良い雰囲気だとは言えない。
「あーあ。もっと普通の女だったら良かったのにねィ。どうしてこんな女が姉さんと同じ立場に来るのか不思議でならねーな」
「は?姉さん?わけわからないアル」
「決めた。美人で強い神楽さん」
「なんかそれ、いい響きアルな」
「そうか、良かったな。て、そうじゃなくてだな。俺、もう女遊びやめる。つまんねえし」
「そうアルか、それは良かったアル。まぁ、私には関係ないけど」
「俺の女関係に関していちいち突っかかってくるだろうが」
話の腰を折ってしまった。
「まぁそんなことどうでもいいんだよ。俺が言いたいのは、正直に言うと俺は入学式の日に神楽に一目惚れした。けどお前は俺が嫌いだ」
「よく知ってるアルな。お前は専門外アル」
「でも俺はお前が好きだ」
「今まで好き勝手に女抱いて捨てたやつが言う言葉じゃないアル。信用できないネ」
「それは俺がお前に信用されるようなまじめな男になれば良いってことだよな?」
「…簡単に言うとそうだけど、語弊があるアル」
「俺が認めた女なんだよテメーは。だから、送ってく」
「わけわからないアル」
「送ってくっていってんだよ、黙って送られろ」
眉間にしわを寄せた神楽だが、あきらめたのかトボトボと歩き出した。
にやりとする俺。
「……さいあくアル。こんな奴…」
「とりあえず、お友達からということで」
「絶対ならねーヨ!!!沖田この野郎!!!」
初めて神楽が俺の名前を呼んだことに、近さを感じた。本人は気付いてないだろうけど。
「いっとくけど、私男見る目は備わってるアル」
夜はまだまだ長そうだ。
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なんだか中途半端ですまみません!
リクエストの女遊びが激しい沖田と銀魂高校1の美人&最強の不良神楽沖→→→→→→→→(←)神楽にしっかりと添えてないかもしれませんが…。
もしも納得がいかなければおっしゃってください!
それでは第1作目でした