ハチミツのどあめ
3Z
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朝起きたら、熱が高く、声がひどく枯れてしまっていた。このまま学校へ行っては、細菌をばらまき、さらには憎いサド野郎に馬鹿にされてしまう。だけど、学校に行きたいのもまた事実。しかし人迷惑だとは思わないでほしい。学校に行きたいだなんて凄く良いことなのだから!
「頭がボーっとするアル。意味不明な数字が羅列して頭の中で可笑しなことになってきてるアル」
そんなこんなで学校へ行ったらこんな状況。私はアホではない、絶対に。あ、そう言えば今日はサドとはなしてない。まぁ、そんなことどうでもいいか。
「じゃあ、次の問題を神楽やってみろ」
服部の数学の時間は一番嫌いだ。だって私に当たる確率が高いもん。それに、全部分からない。
一応立って、頭が熱でボーッとするなか、かすれた声で今私が考えた計算の中で一番しっくりくる答えを言った。
すると服部は普段は見えない目を解放させ、キラキラとしたまなざしを私に向けながら近づいてきた。
「神楽、すごいじゃねーか。お前はやればできるんだよ」
わしゃわしゃと撫でられる頭。クラクラする、やばい、なんか落ちる。
「…神楽?うわ、お前すげえ熱だぞ」
「帰りたく、ないアル」
私が椅子にストンと座ると、服部は心配した面持ちで「それでも保健室には行っとけよ」と言った。
「誰か保健室連れて行ってくれる奴いねーか?」
ぼーっとする頭で周りを見る。すぐに手を挙げたのは妙だったが、それはすぐに別の人物に変わった。
「あ、だったら私が…「すいやせん姐さん、俺連れていきます」
サドだ。あの憎きサドが、私を保健室へと連れて行こうとする。
「じゃあ沖田、頼んだぞ。銀時には俺から言っておく」
サドは私を背負って、教室を出て行った。ここから保健室までは反対の校舎にある。それまでの間、私はサドの背中…。考えただけで頭が熱い。
「…馬鹿チャイナ、熱あんなら学校来んな」
「だって行きたかったアル」
「たく。……ごめんな、もうちょっと考えてれば良かった」
「何を?」
「お前の事だよ。いつもケンカしてて、チャイナの事分かってるつもりなのに、こうやって誰かが気付かないと、チャイナの体調とか分かんねえんだ。なんだかそういうの、すげえムカつくし、俺が一番にチャイナに気づいてやりたいと思う」
「…なんだかその言い方、お前が私のこと好きみたいに聞こえるアル」
「…そうだよ、好きだよ馬鹿チャイナ」
私は熱を出してから頭の回転が良くなったのかもしれない。熱が下がったら、どうなるかは一目瞭然だが、今はそのままでも良いと思った。
「かっこつけんな、クソサド」
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カッコつける沖田と、可愛い神楽ちゃんを書きたかったが撃沈。
ハチミツのどあめみたいに、甘いけど、ほのかに酸っぱい文を書きたかったが、これも撃沈。