吐息に埋れた
未来幕末
----------------------------


最近、宇宙へ修業に出ていたチャイナが、一人前のエイリアンバスターになって帰ってきた。その実力、美貌ともに2年前を上回って、だ。

まぁ、最近と言っても1週間前の話で俺はチャイナに一度も会っていない。会ったら最後、離したくない衝動に駆られるのが落ちだ。あぁ不毛な恋よ、焼けて燃え尽きろ。

そんな思いも届かずかな。神様は本当に気まぐれな奴だ。都合がいいと言えば都合はいいだろう。しかし、なぜ今?

「…サド、久しぶりアルな」

大人のチャイナ。俺だけがおいてけぼりを喰らったみたいだ。

髪は伸び、出るところも出ているチャイナはまるで別人だ。そうだ、これはチャイナじゃないのかもしれない。

「身長伸びたんだな」

他にもっと言いたいことはあるはずなのに、こういう時に限って言いたいことは言えないんだ。あの時も、2年前もそうだった。宇宙船に乗り込むチャイナに、俺は『行ってらっしゃい』の一言も言えなかったのだ。

土方さんにヘタレと呼ばれるのも、俺だって20なのだ。それくらい分かる。俺は意気地なしなのだ。

「お前も、カッコ良くなったアルな」

チャイナは心までもが大人になった。たった2年。されど2年。俺たちに、短いようで長い2年間は本当に長過ぎたのだ。人は、変わる。

「あの時、お前を止めてたら…、俺たち変わってた?」

女々しいなんて言わないでほしい。俺は、チャイナが好きなのだ。

「…そう思うなら、お前は私の見込み違いだったアル」

え、なんて言う前にチャイナによって頬を包まれた。フワリと香る、花の様な、蜂蜜のような甘い匂い。落ち着く、あの頃のチャイナの香りだ。

「私は、今からでも間に合うと思うヨ」

ニカリと笑うチャイナは、あの頃と全く変わっていなかった。成長したんだ。俺も、成長したい。チャイナと一緒に、チャイナの隣を歩きたい。

「好きだヨ、沖田」

「……沖田じゃない」

「んぅ…っ」

交わった唇はひどく温かかった。チャイナの温もりだ。

名残惜しく、唇を離す。

「好きだよ、神楽」

やっぱり恋しくなって、もう一度優しくキスをした。


--------------------

甘いものを書きたかったんです。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -