宇宙とワルツ
原作
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11月になり、寒い日と夏並みの気温が波を打ちながら変化していく今日。朝から布団にもぐり、今日一日をどう有意義に過ごすか考えているところに、事件は起こったのだ。

「総悟!!てめー今日は見回りだった昨日言ったばっかりじゃねえか!」

「うるせーな土方コノヤロー。俺ァ今から昼まで寝て、この文化の日を心地よく有意義に満喫するんでさァ。邪魔しねーでくださいよ」

「なにが文化の日を有意義に満喫だ。俺は今日非番だから、チャイ…いや。まぁいい。それよりお前は今日は仕事なんだからな。しっかり起きて働け」

「なんか今チャイって聞こえたんですけど」

「なんでもない」

「チャイってアレですかィ。チャイコフスキー」

「そうだ、それだ。だから早く起きろ」

「わけ分かんねーや、いつもだけど」

いつも以上にグチグチと小言を言う土方なんか放っておいて、仕方なく俺は布団から脱出。あぁ、眠い。これだから朝は嫌いなんだ。ニートになりたい。

ゆらりと起き上がり、土方の小言が耳ざわりなので障子を締め切った。朝から胸糞悪い声を聞いてしまったため耳掃除。

そして不と、文化の日で思いだしそうなことがあった。

「文化の日…。なんか忘れてる気する」

まぁいい。俺は今日、有意義な一日を過ごすのだ。







今日の公園はなぜだか静かだった。いつもならいるはずのガキの姿もない。

「文化の日だからか?」

わけの分からない解釈をし、公園のベンチに腰掛ける。なぜだか胸のもやもやは取れないでいた。これで有意義な今日を過ごすことができるのか。答えはノーだ。

こんなことで悩んでいたら日が暮れてしまう。そんなのは絶対に避けたい。しかし、いつの間にか日は高く昇っていたのだった。

アイマスクをつけて眠ろうとするが眠れない。その時今朝一番に聞いた胸糞悪い奴の声と、もう一人、いつもいるはずの公園にも姿を見せなかった奴の声が聞こえた。








「トッシー凄いアル!本当に買ってくれるアルか?!」

「前から約束だったしな。それに、これは俺からのお礼だ」

可愛い髪飾りをトッシーに買ってもらった。銀ちゃんには酢昆布、新八と姐御からは、これから寒くなるからって冬に着るためのトレンチコートをもらった。

「あぁ、そうだった。これは近藤さんからだ。あずかってきた」

「可愛いアル!ゴリにしてはナイスチョイスネ!」

ゴリには可愛い兎のぬいぐるみをもらった!誕生日ってなんて良い日なんだろう!

「トッシー、聞いてもいいアルか?」

「なんだ?」

「……クソサドは?」

そう言うと、にやりと笑うトッシー。だって気になるんだもん。

いつもは睨みあうサドだけど、今日は特別なんだ。

「どっかで寝こけてんだろ。そこら辺うろうろしてりゃ、見つかるさ」

「へぇ、誰がみつかるんで?」

トッシーがビクリと肩を震わせた後、ガチガチになりながら振り返る。あ、サドだ。









憎い土方アンチキショウが、チャイナと一緒に居る。ムカつく。多分今顔が引きつっているのでは、と自身で感じることができるほどだ。

「チャイナ、なんでィその袋」

土方をおっぱらった後は、チャイナと二人で駄菓子屋巡りをした。

「トッシーに買ってもらったアル!可愛い髪飾りヨ」

「ふーん」

俺は女物の飾りや、そんなものよく分からない。

ニコニコ笑うチャイナと、大量の酢昆布と土方が買ったという髪飾りが入った袋をみて思い出した。今日はチャイナの誕生日だ。

「…私いままで誕生日なんて、祝ってもらえるものだとは知らなかったヨ。だから、プレゼントもらえて嬉しかったアル!本当は、皆に祝ってもらいたいけどネ……」

皆、の意味が何なのかすぐに分かった。

「俺、何にも用意してねえぜ」

「マジでか!」

「本当は、プラネタリウムにでも連れてってあげてえけど、今日は祝日だろィ?」

「プラネタリウム?」

「そ、機械で宇宙を見れるんでさァ」

「凄いアル!!」

目をキラキラさせて俺を見るチャイナが、めちゃくちゃ可愛かった。

「そんなに見たいなら、見せてあげまさァ」

「ひゃほーい!!」

スキップするチャイナ。こんなチャイナ、見たことない。俺がチャイナを喜ばせてると思うとドキドキした。









「ここで見れるアルか?」

「ここで買うんでィ、見たいだろィ?」

「見たい!!」

まるでガキだ。でも、そのガキが可愛いし、好きなんだ。……え、好き?まじでか。俺はチャイナが好きなのか!

「サド?」

「…な、なに」

「中入ろうヨ!そんでもってサドも一緒に見るアル!」

キュッと握られる手。

「マジでか」

最近、驚くことが多くある。こうしてチャイナが俺の手を引っ張って店に入ることとか、チャイナが顔を赤くしてることとか、俺がチャイナを好きなこととか。

「素敵なプレゼントヨ」

まるで誰の誕生日なのか分かったもんじゃない。



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好きと気づいた瞬間。


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