ワインレッドの誘惑
金魂沖→→神
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空がまだ茜色のころ、光り始めるピンクや紫のネオン。
その光りの間を漆黒の車がすり抜ける。
町行く人は片腕に女。
もう片腕には札束が入っているであろうバックを持っている。


「良い御身分なものね」



高いソプラノが、車内に響く。
窓の外を見て、ジッとネオンを見つめる彼女は、誰がどう見ても美しい。



「トシ、次はどこかしら」

「ホストクラブ《オーシャン》だ」

「ふーん。あ、トシ、総悟はどこにいるの?」



今だ窓の外を眺める彼女が問う。
スラリとした長い足を、交差させて腕に擦り寄る小さく白い犬を優しく抱える。

すると、彼女はようやくこちらを向いた。



「総悟ならもうすぐ乗ってくる」



そう言うと、たった一言、そう。とだけ言って、外を眺めるでもなく、犬を撫で始めた。

白くて細い指が犬の毛並みを整える。



ガチャッ―…



「土方さん」

「来たか。乗れ」

「そのつもりでさァ。俺は後部座席に乗るんで」

「勝手にしろ」



へぇへぇ。

そう言って後部座席のドアを開ける。
ドカッと言う効果音が合っているであろう。
総悟の隣には、神楽がいる。



「こんばんは、総悟」

「今日も御綺麗で」

「フフッ、褒め言葉がお上手なこと。他の女にも言っているのかしら?」

「生憎、俺はアンタだけでさァ」

「女なんか居たら殺してあげるわ」

「そりゃあ、おっかねぇ」



不適に笑う総悟に、神楽もまた不適に笑う。

冗談よと言う神楽の目は、本気そのものであったが、総悟はそれに怯むまでもなく、右腕を神楽の腿へやり、優しく撫でる。


「あんたが一番綺麗でさァ。誰よりも」



そんなの分かりきった事とばかりに総悟を見つめる神楽は、勢い良く彼の唇に自らを密着させた。




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大人な雰囲気を出したかったんだと思います。
もう影も形もないですけれど…。
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