おとぎ話に出て来るシンデレラに憧れるんだ。
だって、12時までの魔法なんて、素敵でしょ?
ガラスの靴を頼りに、一生懸命、王子様はシンデレラを探すの。
私も、いつか王子様が現れるかな?なんて……。
「王子様アルカ……。」
「何でィ。」
「フギャ!!」
私は王子様を呼んだのに、出て来たのは、憎いアンチクショー。
『王子様アルカ…。』って言ったのに、さりげなく返事をしちゃってるし…。
「チャイナって、シンデレラ見たくなりたいのかィ?」
「………悪いかヨ。」
どうせ、返ってくる返事なんて分かっていたし、別に、気にするわけではないが、私だって純粋な女の子なわけだから、お姫様になりたいって、少しは思ったっていいでしょ?
けれど、返って来たのは馬鹿にするような言葉ではなかった。
「まぁ、チャイナも女だからねィ。可愛いんじゃねえの?」
え?
今、この男は何と言った?
可愛い?
「サド?頭打ったアルカ?風邪アルカ?」
「人を馬鹿にするのは止めろィ。」
「だって…、お前が私を可愛い?うげ…、考えただけでもキモいアル…。」
「褒めてやったんでィ。ありがたく思いなせィ。」
「サドなんかに褒めてもらっても嬉しくないアル!!」
顔が熱い。
多分、私の顔はこれまでにないくらい真っ赤だと思う。
「チャイナ顔真っ赤。」
「う、五月蝿いヨ!」
私は、サドの方を向いて居られず、そっぽを向いてしまった。
別に、サドに言われたから照れているわけではない………と、思う。
「なァ、俺今、チャイナがすげえ可愛く見える。」
「やだやだやだやだ……。私へんアル。心臓がめちゃくちゃ早いネ。」
「へぇ……。チャイナ、俺、チャイナの事考えると、すっげー抱きしめたい衝動に陥るんだけど…、責任とれよ。」
「な、何言って!!!!!……。」
その言葉に驚いて、顔を上げると、すぐそこにサドの顔があって、またもや顔に熱が溜まった。
「俺だったら、あんたをシンデレラにしてやれるぜィ。」
「だから、何言って……。」
「好きだから。お前が。チャイナはどうなんでィ。」
「わ、私は……。やっぱり、言えないアル!!!!」
私は、その場の空気にたえる事が出来ず、逃げてしまった。
心臓はさっきよりも速くなっていた。
「やっぱり、まだ言うのが早かったかねィ。」
しかし、数日後。
仲良く手を繋いでデートしているのを、町の人々は目撃する事となる。
私がシンデレラになった日
出会ったその日から、私はあなたのお姫様