Sunny Days
※甘・現代夫婦設定+子
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沖田総悟が、ハタリ、と目を覚ましたのは、まだ空が薄暗い、午前3時20分ほどの頃だった。
ベットから、上半身だけを起き上がるような形にある彼が、最初に目にしたのは、隣で眠っているはずである彼女がいないベット。
沖田は、慌てて起き上がると、ベット脇に置いていたスリッパに足を滑り込ませた。
これは、彼女とお揃いで買った色違いのスリッパだ。
しかし、今はそんな事はどうでも良い沖田は、急いでリビングの方へと足を進めた。
「ったく。一人の体じゃねぇーってのに…」
沖田と彼女は、結婚して約2年が経つ。世間一般に言うと、できちゃった婚であるので、子供は比較的早くに生まれてきた。
それは、彼女の方が、18歳とこれまた比較的若くに身篭ったからでもあるので致し方ない事なのだろうが、それでも、平均体重を下回る重さだったのだが何事もなく、無事に生まれてきた子供が二人にとっての第一子、神悟であり、2年後の現在。
彼女は第二子を身篭っている。というわけだ。
説明が長くなってしまったのだが、簡単にいうと、沖田は、彼女つまり、妻である神楽が心配なのだった。
「……あれ?総悟?」
リビングの扉を開いた瞬間、青い瞳が、沖田を見つめ、そして気の抜けたような小さな声で言った。神楽は、大きくなった腹を摩りながら、沖田をじっと見ている。
「体冷やしたら胎児に悪いだろィ?ほら、ベットに戻りな。一緒に行ってやっから」
「うん。分かったアル。…ねぇ、総悟。最近、神悟がスッゴク成長したような気がするアル。そう思わないアルか?」
同意を求めてくる神楽の言葉に不と、沖田も、最近彼女と同じような事を考える時がある。そう思った。
例えば、風呂で頭を洗う時。少し前くらいまでは、シャンプーハットをしていたのに、ある日を境に………というより、神楽の腹に赤ん坊がいると知った日から、シャンプーハットをしなくなったのだ。
その事を、風呂上がりに神楽に話したときは、お兄ちゃんだからナ。そう言って笑っていたのを思い出す。
そして今。神楽が座るソファーの前にあるテーブルの上には、神悟の成長記録…もとい、アルバムが置いてあった。
大方、深夜に目が覚めた神楽が、リビングでアルバムを眠気覚ましのために見ていたのだろう。
沖田は、一度ベットルームへ戻ると、毛布を一枚とって、またリビングへ向かった。
パラパラと、アルバムをめくる神楽の隣に腰を降ろす沖田に、神楽は薄く頬を染める。そんな神楽を、沖田は凄く、愛しく思うのだった。
優しく、神楽の肩に毛布をかけ、なるべく腹と腰を冷まさせないようにする。彼なりの、神楽と胎児に対する配慮だ。そんな沖田を見て、神楽もまた、そんな彼を愛しく思うし、頼もしくも思う。
「もうすぐ、このページにも新しい名前が載るって考えたら、凄く嬉しいヨ。ちゃんと、ここに居るんだなぁーって思うアル。」
「これからも、まだまだ子供増やす予定なんだぜィ?もっといっぱいアルバム買わねえと足りねぇーよ」
「体が持たないアル……」
唇を尖らしてムスッとする神楽。そんな神楽に、沖田は小さく笑った。そして、そんな沖田を見ながらまた、神楽も笑うのだ。
なんとも幸せなひと時だろうか。二人は同時にそんな事を思うのだった。
その時、閉めたはずのリビングの扉が、スーっと開く。その扉の隙間から顔を出したのは、他でも無い、もうすぐ三歳になろうとしている神悟だった。
「神悟?どうしたアルか?トイレ?」
神楽が優しく、神悟に尋ねると、神悟は小さくコクリと頷いた。まだ眠たいのであろう、たどたどしい足元を見て、神楽は沖田に言った。
「お父さんの出番アル。神悟のおトイレに着いて行ってあげてヨ」
「分かった。ちゃんと毛布きてろィ。寒かったら、ベット行って寝てな?」
「もう、総悟は心配性ヨ。大丈夫だから。ほら、神悟がお漏らししちゃっら、それこそ風邪引いちゃうアル」
「はいはい。じゃ、神悟。一緒にトイレ行くか?」
「はい」
沖田は、ゆっくりと腰を上げて、神悟を抱き抱えながらトイレに向かった。
そんな二人を、神楽は微笑みながら見送る。姿が見えなくなると、神楽は腹に両手を添えて撫で始めた。
「パピーもマミーも、あなたのお兄ちゃんも、早くあなたが生まれてくるの待ってるヨ?生まれてきたら、きっとここに、新しい写真を貼るアル。家族四人の、初めてね写真をネ」
パタンと、神楽はアルバムを閉じると、重たい体をゆっくりと立ち上げた。腰に手をおき、ゆっくりとベットルームへ向かう。
心配性な沖田の事だ。神悟を寝かし付けると、きっと、すっ飛んで神楽の元へ行くに違いない。
その事を想像すると、神楽は、緩む頬を抑え切れずにいた。そしてまた同時に、愛されている。そう思うのであった。
Sunny
Days
願わくば、永久に……
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夫婦設定ですね
無駄に長い気がする………
いや、短いか…