「この子、最近の私のお気に入りなんだぁ〜」

「へぇ、この子神夜(カグヤ)じゃん」

「知ってるの?」

「知ってるも何も、めちゃくちゃ人気だよ!」

「え、嘘!」

クラスの話はいっきにモデルの神夜の話で持ち切りだった。私は興味がないと言えばそうだが…、というか興味を持っていなくても聞こえるというか…、その神夜が私というか。

「沖田君も、神夜好きだったよね!」

女子の一人がクラスメイト兼ケンカ相手の沖田総悟に声をかける。てか沖田、あいつ私のこと好きだったのかよ。なんか嫌アル。

ガタっと、椅子を引いて帰る準備をした。まだ2時限目だけどね。12時から撮影があるから帰らなくてはならないのだ。もっと学校でワイワイしたりしたいんだけど。

「あり、チャイナもう帰んの?」

うげ、声かけんなよクソサド。クラスの注目浴びちゃったアル。帰るときは目立たないように帰れと、学校長のクソババァに言われていたのに。

「え、あ、うん。帰るアル。なんだか体調が悪くて…」

この嘘も、何回言ったことか…。

私がモデルをしていることを知っているのは、隣クラスのそよちゃんだけである。あ、あと教師の一部。クラスメイトは誰ひとりとして知らないし、べつに教える必要もないから教えていない。

雑誌のインタビューにだって、高校生としか言ってないもんね。だって面倒くさいアル。

「ふーん。じゃ、俺もチャイナと一緒に帰ろうかなー」

「は?!無理に決まってんダロ!」

「嘘に決まってんだろィ、ばーか」

う、嘘ならいいアル。少しほっとしてクラスを後にした。これから、楽しい楽しい撮影が待ってるんだ。今日は水着の撮影だって言ってたし、楽しみアル!!




***



「てことで、俺思ったんだよ。神楽ちゃんってさ、どことなく神夜に似てないか?」

「あー、それ私も思った!なんか似てるよねぇ」

チャイナが帰ったすぐ後、クラスの男子のこの発言によって俺たちA組によるチャイナ追跡が開始された。全員というのは難しいので、俺とクラスの男子で行くことになった。ほらだって、俺はさぼり常習犯だし?もう一人もまぁそんなもんだから。

ずっと疑問だったチャイナの正体を暴いて見せるぜ!






「いた、神楽ちゃんだ。沖田、お前押すなって!」

「静かにしろィ。チャイナ勘だけは鋭いんでィ。…他は鈍感だけど」

「あ?何か言ったか?」

「いいや、何も」

俺のチャイナに対する気持ちを知っているのは土方と近藤さんくらいだが、隣のクラスにいるチャイナの友人にも知られているらしい。なんでだ?

「沖田、お前まさか神楽ちゃんのこと好きだろ」

「は?馬鹿言ってんじゃねーよ。誰があんな馬鹿チャイナ」

「ならいいけど」

「……ならいいけどって、お前まさかチャイナのこと好きなのかィ?やめといた方が身のためだぜ?あの凶暴チャイナなんか相手にした日にゃ…」

「"だから俺じゃないとチャイナは相手出来ねえ"ってか?」

ニヤッと笑うこいつは、なんかもう面倒くさい。図星を突かれたのが嫌で、早くチャイナの後を追おうと歩き出した。とうにチャイナは先へ行っている。

「お前のせいで見失ったらフルチンでグラウンド走らせるからな」

「分かったよ!だからフルチンは勘弁!」

笑いながら、もうこれ追跡でもなんでもないなと思いながら、遠く見えるチャイナを追った。てか本当にチャイナってモデルなわけ?

そんなこんなでチャイナを追っていたらあるとことに気がついた。

「なぁ沖田、こっちの道って神楽ちゃんの帰路じゃないよな?」

「あぁ、俺チャイナと同じマンションだし…こっちは通らねえな。じゃあやっぱ具合悪くて帰ったんじゃなさそうだねィ。病院もこっちとは逆だし…」

「ふーん…って、え?お前神楽ちゃんと同じマンションだったわけ?!」

「あ?言ってなかったっけ」

「聞いてない!!俺が神楽ちゃん狙ってんのに!」

「やっぱ狙ってたんじゃねーかよ」

「あ、ほら神楽ちゃん車乗ったぜ!」

「話そらしやがって…、タクシー乗るぞ」

「本当に尾行してるみたいだな!」

「尾行してんだよ」

もっとマシな奴を連れてくればよかったと後悔するのは遅い。これならまだ土方コノヤローを連れてきた方が良かったぜ。

車を追って着いた先は夏の海にはまだ早いビーチだった。海で何するってんだ?




***



「ひゃほー!海アル!」

久しぶりの海を目の前にはしゃぐなという方が無理!だってとっても綺麗アル!

「神夜、そろそろ着替えて準備しなさい」

最近私に着いたマネージャー。怒るとちょっぴし怖いけど、お菓子とかいっぱいくれるから大好き。

「はーい。…本当にこの水着着るんだよネ?」

「そうよ?もう恥ずかしがることないんだから、さっさと着替えてきなさい。早めに撮った方が、あんたのためなんだから。…それと、あの子たちあんたの友達?」

「ん?あの子たちってどの子たちアルか?」

「ほら、ずっとタクシーでつけてたわよ?あの茶髪でかわいい顔の子と、短髪の黒髪の子」

「……すこーし時間が欲しいアル。いい?」

「えぇ、あと10分くらいなら余裕あるからいいわよ」

「ありがとうアル!」








「……で、なにしてるアルか?」

額に血管が浮かぶ。

「「な、何って…なにが…?」」

「尾行してきたらしいアルな。今日の撮影が海だからってはしゃぎすぎて気づかなかったアル。…お前ら、私が神夜だってこと他に言ったらマジで殺すヨ?」

「…しっかしチャイナがモデルだったなんてねィ」

「でもめっちゃ可愛いじゃん!神楽ちゃん、俺と付き合ってよ!」

「嫌アル臭いアル」

「…くさ…」

「はっ、惨敗じゃねーか」

「だ、だっだら!」

短髪の奴…名前はたしか…。そうだ山田君だ。たぶん。

「だったら、神楽ちゃんの撮影生で見せてくれない?!」

「え、それは別に大丈夫アル…。でも私のマネージャーがなんて言うか」

「駄目だ!」

サドが大きな声をあげた。いきなりなんだ、コノヤロー。

「海で撮影っつったら、その…、み、水着だろィ。駄目だっつったら駄目なんでィ」

「お前やっぱり神楽ちゃん目当てだろ!!」

「ち、ちげえよ!」

「もうやっぱり帰ってほしいアル」


この日の撮影は散々なものだったとかなかったとか・・・。



END。

書いててわけがわからなくなった。
もしかしたら、続き書くかもしれない運転。

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